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★★★かわさき市民オンブズマン」会報20号(平成12年12月発行)★★★

行政に市民の風をふかせよう!

*** 目次 ***

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 主張 「官製オンブズマンにもの申す」
 
                      代表幹事 篠原義仁

 1)11月9日、麻生市民館で私たち市民団体の、かわさき市民オンブズマン学 習会が開催された。この学習会は、情報公開請求、住民監査請求、住民訴訟を3 本の柱として税金のムダ遣いを追及する私たちの活動を広く市民に知ってもらうこと を目的として企画された。
 塩漬け土地、下水道・水道メーター等の談合問題、第三セクター問題など川崎 市における税金のムダ遣いは多分野にわたり、市財政を極端に圧迫している。他 方、市長以下川崎市の幹部は、その解決策を提示することができず、それどころか財 政健全化へ向けての実践的、かつ、具体的方策の検討を放棄する姿勢に終始してい る。本来、行政を監視し、それを糾すべき川崎市議会、監査委員もその責任を全うし ていない。
 川崎市の公正、かつ健全な財政の執行は、市民参加、市民団体からの提言 なくしては期待しえない状況となっている。

 2)しかし、学習会は一面で意外な展開をよんだ。官製の川崎市民オンブズマ ンと私たちボランティアとしての市民団体・かわさき市民オンブズマンの混同 が、それである。
 かねてより私たちは、週3回の出勤で月給78万円もの高額をとる官 製の川崎市民オンブズマンには批判的見解を有していた。それは他に職をもった うえでのパート的体制とそれに比較しての高額給与、という問題に止まらず、そ の業務内容の低調さへの批判を基本としていた。官製オンブズマンの年次報告を みるとその低水準の活動は明らかとなる。官製オンブズマンの取扱う業務内容は、 苦情処理的業務、「すぐやる課」的業務が殆んどで、あえてオンブズマン制度を 作る必要はなく、行政内部の対応で十分なものとなっている。
 私たちの目からみると、この官製オンブズマンも税金のムダ遣いとして指弾の 対象とされるべきものである。

3)その官製オンブズマンと私たちかわさき市民オンブズマンについて混同し、 その上でしばしばマスコミに登場し「胸のすく」追及を行う私たちの組織の活動 を官製オンブズマンのものと誤解し、官製の川崎市民オンブズマンもなかなかやるわ い、と思っていたというのである。
 私たちは、官製オンブズマンの実態、専従事務局を含めた壮大な税金のムダ遣 いの追及を視野に入れて「官製オンブズマン」にもの申す活動を強化する必要が ある。それは、全国各地で真面目に手弁当方式でオンブズマン活動を展開している 市民団体・オンブズマン(ボランティア)のためにも必須となっている。
                            以上

          

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 市民集会を終えて
 
                               N.S.

今回の会場設営を担当して、先ずは会員各位の自発的ご協力と全国市民オンブズ マン代表、えびな市民オンブズマン代表、よこはま市民オンブズマンにご参加いただ いたことに感謝申し上げたい。
さて、もっとも心配されていた来場者数であるが、平日夜にもかかわらず70人余の 参加者があったことは、なんとか面目を保ったというべきであろうか。それにしても 事前に新聞、タウン紙に掲載され、数千枚のビラをポスティングし、駅頭でチラシを 配り、更に会員各位から参加の呼び掛けをしていただいた結果かと思うと複雑な思い である。
ともあれ、今回は川崎市北部を主とした一般市民に参加を呼び掛けた集会であったが、 いろいろと考えさせられるところがあった。第一に我々オンブズマン活動のPR不足 である。
当日寄せられたアンケートでは、初めて知った、驚いたなどの回答からも明白である。 新聞にあれほど掲載されていても、意外と知られていないことを謙虚に受け止めねば ならない。マスコミに訴えることも一層必要であろうし、地元周辺の集会(老人会、 趣味の会など)にもまめに参加してPRすることも必要であろう。塚本顧問が黙々と 定期的に駅頭でチラシを配布しているように地道な積み重ねも必要なのかもしれない。

第二にPRとも関連するが、どうやって問題意識をもってもらうかである。我々は塩 漬け土地、第三セクターが市の財政に大きく影響するからこそテーマにしているわけ だが、一般市民にとっては大きすぎて身近な問題ととらえられていないきらいがある。 一例として、談合を切り口とした割高な修学旅行費などの身近な問題も一つのテーマ にとりあげるようにすれば、一般市民の注目もひくし問題意識をもってもらえやすい のではないか。
第三にそこからどうしたら参加につなげるかである。当日の来場者からの質問でも、 オンブズマンの活動はよくわかったが、自分達としてどうしたらよいのかわからない という支援の意思表明があったが、外部からみれば我々の活動にどうはいりこんでい いのか戸惑う気持ちも理解してあげねばならない。とにかく一度でも会員と同行して 参加経験してもらうことだろう。昼間なら裁判や住民監査の傍聴、土日しか時間のと れない人のために土日の会合の工夫する必要があるかもしれないなにやかや、こんな 理屈をこねているより行動にうつすのが先かもしれない。

          
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 市民集会アンケート
 
 

 11月9日の市民集会は、70名の参加者があり、内容も充実したもので成功裏に終了 した。当日の参加者にアンケートを依頼したが、その内容をここに紹介する。
 アンケートを書く時間が割けなかったにも拘わらず、21名もの方がアンケート に記載して下さった。ご協力に感謝したい。
 我々「かわさき市民オンブズマン」の存在につき、ほぼ全員が認めるてくれて いることは当然とも思えるが、有難いことである。(Q6-B)
入会を検討すると回答下さった方が6名おられる。(Q8)

 今後とも有形無形の支援を宜しくお願いしたい。
 川崎市行政に「驚きました」「呆れました」、官製オンブズマンは「投資費用に比べ、 無駄」との意見に集約されるが、それから如何するの? との疑問が参加者にはあった ようだ。
 『市民が知れば、行政は変わざるをえない』と訴えた市民集会であるが、川崎市政 が無茶をやっていることを認識して頂いたとすれば、その面からも成功だったと言える。  したたかな行政に直ちに致命傷を与えることは出来ないが、今回のような集会を各 地で開催し、市の実態を多くの市民に訴える事が、問題解決の有力な手段の一つであ ることは間違い無い。以下にアンケート回答の内容を紹介する。

1. 回答者  21名 
 

  • 性別; 男:13、  女:7、  未記入:1名
  • 年齢; 20代:2名(男1.女1)、30代:2名(2.0)、40代:1名(0.1)、
          50代:3名(0.3)、60代:7名(5.1.未記入1)、 70代:6名(5.1)
  • 地域;川崎区:2、麻生区:7、多摩区:4、宮前区:3、中原区:1、市外:2 
        (注:60、70代パワーが中心、更にこの層に働きかけが重要。それにしても20   代、30代、40代の参加が少ない。40代、50代の男性のためには休日開催が必要か?)
2. 市民集会を何処で知りましたか
  •  知人:10、ビラ:3、公報新聞:1、マイタウン:1、ハガキ:1、その他:5
          未記入:3、 回覧板:1、 HP:1
       (注:ビラ、タウン誌での参加が5名は心強い。)
3. 会の構成についてのコメント
  • ビデオに始まり、担当の方の説明があり質疑応答など問題点が大変判りやすく理解で きた。会員だけでなく全市民が知る必要があると痛感する。
  • 税金のむだ使いが良くわかった。
  • 最初のビデオが見づらかった。
  • 初めて会に参加した、成果、熱意を知り驚きました。
  • 構成に異議はないが、集会に意義をもたせるより、効果ある活動に重点を。
  • サンデープロジェクトの当番組は見た記憶があるが、いかに漠然と見ていたかを実感した。
4. 会の内容についてのコメント
  • 行政側の不正、無責任さを今後も徹底的に追及してほしい。
  • ビデオなど説明もわかりやすくよかったと思います。
  • 時間が限られて仕方ないが、もっと詳しく聞きたかった。
  • 定期的に開催して頂けるとあり難い。事情はわかったので、あとは強さと力を持つことが必要。
  • 幹事さんたちはもっと大衆に向けてのアピールに注意を。
  • 市の実情はわかったが、オンブズマンの日頃の活動も紹介してほしかった。

5. 川崎市の行政についてのコメント

  • 無茶苦茶であるのに驚いた。
  • 貴重な税金の無駄遣いの構造がよく判った。
  • 半分ぐらい死んでいる。驚きました。
  • 最近行政訴訟をおこしましたが、ばかばかしくて、くやしい思いをしました。 
  • 市民をバカにしていることが多い。
  • 行政の実態について初めて説明を受けたので何ともいえない(あきれはする)。
  • 市民は問題は大と感じている、要はどのような運動にするかである。
  • 市長に隠れた借金の説明をさせるべき、そのための方法は。
  • 税金のムダ使いいやめさせたい、市長を変えよう。
  • 川崎市は情報公開は進んでると思ったがまだまだだ、形式より実質を考えるべき。

6. 「かわさき市民オンブズマン」の活動について

  •  知っていたか; 知ってた:12名 知らなかった:5名 未記入:4名
  •  必要か   ; 必要:19名  未記入:2名

7. 官製の「川崎市市民オンブズマン」

  • 馴れ合いに過ぎず、軽い問題をさらっと扱うのみ。
  • なくてもよい、あまりにも行政よりであり、名前だけである。
  • 官製との違いを冒頭にふれていたが、違いの説明がもっと必要。
  • 何をやっているかと常々思っていた。
  • あれは役に立たない、高給泥棒。
  • 何も内容を知りませんでした。
  • 今日の話で「情けない」と思った。
  • 何もしてない。

8. 「かわさき市民オンブズマン」に入会しませんか

  • 入会を考慮中:6名 

9. 総合コメント 

  • 市民全体にアピールする方法を課題にすべき。
  • 議会の機能を民主化にむける活動の方法。
  • 会員ネットを作るなり具体的な活動をしなければ意味が無い。
  • 市民の力を結集する手段、方法:市長選、手紙?
  • 市民の懐への影響を具体的に訴えたら。具体的に市民に明示する必要ありそう。

        以上集約   代表幹事  江口武正

          
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 会員拡大ワーキングレポート

 
 

 10月14日(土)秋日和、快適だ。
 ここ溝口、高津市民館に繋がる空中歩道は、さまざまな人さまざまな家族が往き交 い、あちらこちらにポケットティッシュや広告のちらしを配ってる若者、又労働団体 がマイクで活動をアッピール、そして署名運動と街頭宣伝も大賑わいである。
 そんな盛り場特有の雰囲気の中、配り始めて間もなく高橋さん(宮前区)がサポー トに駆けつけてくれる。
 二人で配る「ちらし」は順調に捌け、なんと4時にスタートして5時を前に持参の 100枚が無くなり、もっと持って来ればよかったと、反省の思いと共に終えました。  実状は能率よく消化されたのは高橋さんで、私の方は何時ものペースでしか捌けず、 それは何故か? 帰途の電車で考えた結論は、二人の人相の相違によることに思い当 たり、いささかショックを感じたリーフレットくばりでした。
 高橋さん有難うございました。そして美味しかったコーヒーにも。

   11月18日(土)新百合ヶ丘南口で強風と共に寒気の増して来た夕暮れ、サポート に足を運んでくれた、細谷さん(麻生区)と一緒に配りました。
 細谷さん有難う、風邪を引かなかったですか!!
 北部地域においては11月9日(木)かわさき市民オンブズマンが組織的に取り組ん だ、麻生市民館での「市民集会」が催され、それを担当された佐藤さん(麻生区)のレ ポートをご覧下さい。
なお、今後の活動日程は裏表紙に記載しましたので、ご覧下さい。
      

多摩区 塚本記
          
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 申入書(かわさき市民オンブズマン)
2000/11/24
 
  高橋川崎市長殿  
各川崎市監査委員殿

          かわさき市民オンブズマン
          代表幹事 篠原 義仁  
          代表幹事 奥田久仁夫  
          代表幹事 江口 武正  

「かわさきファズ株式会社」
監査請求回答に対して

『川崎市(以下「甲」という。)と「かわさきファズ株式会社」(以下「乙」という。) との間で平成7年3月に締結された普通財産貸与契約書によると、乙が甲に支払う土地権 利金残額の支払方法並びに権利金の残額に付する利率及び支払方法については、甲乙協 議の上、別に定めるとしているが、何らの取り決めも行われず、未だ定められていない ことは、違法若しくは不当に市の財産の管理を怠っている。』との住民監査請求を9月25日 に行ったが、この度、12月22日付けの監査結果を受領した。監査委員の結論は、「甲及び 乙は7月7日以降7回の協議を行っており、又平成13年3月末日までに協議をまとめることで 双方の認識が一致していることが確認できたとし、」我々の請求を棄却した。

 しかしこの監査結果は川崎市行政の日常的な業務遂行の遅滞と怠慢を如実に示しており、 川崎市長及び監査委員に対し猛省を促したい。
 特に甲乙協議を早急に整えることが「かわさきファズ株式会社」の将来的展望を確定す る上で不可欠であることから鑑みれば、外部監査人からの問題点を指摘された後、9ヵ月 近くも協議に期間を要するようでは、行政の経営管理能力及び当事者能力が多いに疑われ るところである。
この監査結果に対し次のとおり反論する。

  1. .長期間の放置
     この土地貸与契約は平成7年3月に締結されたものであり、議会審議が平成6年12月である ことを考えれば、本来平成7年度中に確定されるべき性質のものである。
     従って今日まで放置されていたことが、そもそも行政の怠慢そのものであり、その放置 に責任を全く感じていないことに呆れるほかはない。
  2. .個別外部監査での指摘
     平成12年4月21日に我々が提出した乙に対する個別外部監査請求において、個別外部監査 人から提出された意見の中で「契約書に従い、支払方法等について会社と早急に取り決め を行い、利息相当額については債権として確定させるべきである。」と権威ある専門家より 明確な指摘がなされた。外部監査人としては専門家として看過できない事実を見い出し、 早急に取り決めることが会計上更には会社経営上そして監査人として必要であるとし、敢 えて監査結果に添える意見として明記し、川崎市の財産管理の怠慢を指摘し、川崎市の素 早い対処を期待したものである。
     外部監査人にかかる事を指摘されること自体、川崎市、特に市行政の内部監査委員とし ては恥辱的な指摘であり、本来、責任者の処分があり得る指摘内容である。
     にもかかわらず、指摘された後も協議にのみ時間を費やしており、7回も協議して結論が 出ない問題ではない点で、これはいわゆるお役所仕事そのものであると断じざるをえない。
     常識的には、破綻もありうるとする重要問題であるだけに、外部監査人が記述した『早急 に取り決めを』の意図は、2乃至3ヵ月での協議締結を想定していたと考えられる。
  3. .内部監査人の同意、責任
     内部監査人も上記の外部監査人の意見に対しては、最大限尊重し、市に対し当該意見を 踏まえ、速やかに適切な対応をとるよう要望したところであった。
     従って、甲乙が平成13年3月末日等と怠慢な期日設定に対しては、監査委員として、さら に早急に対処せよと、厳しく意見表明すべきである。
     これまでの監査結果に際して繰返し述べているところであるが、監査委員が行政の防波 堤的役割を果たす限りにおいて、市行政の刷新、改革は期待できず、組織の本来の役割が 発揮される訳が無いと断言したい。
  4. .感覚の麻痺
     今回の市側の主張では、「契約締結後も協議の開始時期を見極めるため、乙の収支状況の 推移やテナントの入居率など、経営状況の的確な把握に努めてきたが、本年中に入居率100% の達成が見込まれ、また、平成15年度から減価償却費の減少などにより、経営の好転が予測 されることなどから、平成12年7月に、同社に協議を申し入れ、」との驚くべき記述がある。 この論では経営が好転しない場合には、永久に協議を開始しないことになる訳である。
     経営の実態を示すために、本来経営の状況に拘らず、速やかに協議を締結すべきことは自 明の事であり、川崎市の行政責任者の感覚がそもそも麻痺していると考えざるを得ない。

                               以上、我々は監査結果に対し上記見解を表明すると共に、外部監査人が指摘する「かわさ きファズ株式会社」が破綻する可能性は、入居者が100%になったとしても否定しうるもので ないだけに、本件協議を速やかに整え、改めてこの先、少なくとも10年の明確な収支予測を 明らかにし、公表することを強く求めるものである。
                                   以上

          
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 塩漬け土地問題レポ−ト
                       代表幹事 奥田久仁夫

川崎市土地開発公社健全化対策に対し「市民オンブズマン見解」を表明
 全国最悪の塩漬け土地を抱える川崎市は、10月20日、国の支援をバックに、 自治省の経営健全化対策第1号の指定を受けた。
 しかしその内容は、土地開発公社の不健全経営を市の財政に移し替えるだけの、 いわば川崎市の「財政不健全化対策」というべきものであった。  もっと民間処分に重点を置き、これ以上の財政負担を避けるべきであるのに、 たった5%だけの民間売却では、市財政の将来負担は膨大である。
 早速、内容の見直しを求め「見解」を表明すると共に、自治省にも市民オンブ ズマンの「見解」を持参し、これが全国の健全化モデルとならないよう申し入れ た。

 尚、この申し入れは全国市民オンブズマン連絡会議で改めて自治省に申し入れ を行う予定である。
 自治省では、「市の対策内容が"絶対不変"というものでなく、健全化の趣旨が 損なわれない事が重要」との認識を示し、市の「変えられない」とする主張に根 拠のないことが判明している。
 そもそも市が「変えられない」とするならば、事前に市民にその対策内容を公 表し、意見を求めるべきであるが、我々の事前の情報公開請求に対し「自治省の 承認がおりていない」ことを理由に情報開示を拒否し、内容が判った時には「も う変更出来ない」と言うのでは、市民不在・市民無用の土地行政である。こんな 市の対応に呆れつつ、以下に「見解」の全文を掲げる。

見 解
 健全化対策への評価 

  1. .経営健全化への取り組み
     川崎市が政令市の中で塩漬け割合ワーストワン(87.6%1148億円)、道府県、 県庁所在市の中にあっても、和歌山県(88.4%626億円)に次いで塩漬け割合が 最悪の公社経営を行っている中で、国の財政支援に頼りながらではあるが、よう やく全国に先がけて経営健全化に向けた取り組みが開始された事は評価される。
     しかし、本来市の自助努力により経営健全化が求められたところであり、「国 の支援を受けて」という点で評価をする事はできない。
     国の支援、即ち特別交付税の交付も結局国民の税金から捻出されるのであり、 自治体の云わば失政が、 市民・国民の税により補填される結果となる事は誠に 遺憾である。
  2. .市財政全体では健全化対策とならない 土地開発公社保有地の再取得資金 に市債の発行粋が得られ、かつ、その金利が一部そもそも土地開発公社の経営健 全化対策としながら、殆どの土地を市が再取得する計画を打ち出している事では、 真の健全化とはなりえない。
     もっと民間へ処分する事を考えるべきである。そうでなければ市財政に土地開 発公社の不健全性が移転するだけのことであり、市財政全体の健全化 とはなりえ ない。

 健全化対策の問題点

 
  1. . 総て事業化する事を選択することにより、再取得及びは事業化迄の期間が余 りにも長期間にわたる為その間の金利だけで平成17年度迄で146億円にのぼると試 算される。
     18年以降再取得される658億円(市の試算額)分の金利はその後事業化迄を含め 更に多額な金利負担を要するところであり、3%の事務費を要する事を含め無理な 再取得・事業化の金利負担は国の一部利子負担があるとは言え市の財政を更に圧迫 する事となる。
  2. .時価を超える再取得価格について
     再取得は総て簿価によるのであろうが、公共用地購入価額については、公拡法第 7条により「公示価格」を基準として算定した価格(時価)による事とされている のであって、川崎市の再取得価格(簿価)と当該算定価格 (時価)との著しい開差は 違法不当な財政支出というべきである。
     市と土地開発公社との間での契約書では、取得価額に金利等を上乗せした簿価に よることが定められているのであるが、地方自治法第2条14項の 「最小の経費で最 大の効果を上げる」とする財政支出の根本理念である「経済性の原則」、更には地 方財政法第4条1項の「地方公共団体の経費は目的達成の為の必要最小限度を超えて はならない」とする趣旨に大きくもとる場合は、その財政執行の行政責任を改めて問 わざるを得ないと思慮する。
     特に「当初購入目的」を変更し、公園緑地等緑地保存地区としての再取得予定地は、 売却すれば巨額な損失が生じ、しかも他に適切な公共事業目的への転用が不可能な土 地であるところからの市の苦肉の策であろうが、時価よりはるかに高額な緑地再取得 となることには、せめて市の責任者の自戒の弁があって然るべきである。
  3. .自己資本による売却損失補填について
     同様に、自己資本の活用として不用土地の民間直接売却を行う場合の、簿価・時価 の差額(売却損失)への補填財源に、土地開発公社の自己資本(準備金)を充当する事 としているが、この準備金原資は市の一般会計等より土地開発公社に対し「事務費」 として支払われたものを財源とする剰余金である。
     不要不急の土地取得の失政が、結局こうした市民の税金を財源として補填され、行 政責任が全く追及されることなく処分が進められるシステムでは、この健全化対策に 市民の百%の支持は得られないものと考えて戴きたい。
     個々の土地処分損失につき、当該土地の取得依頼を行った各事業局の責任を明確に するよう求めるものである。
  4. .転貸債による無利子融資について
     転貸債110億円の発行による土地開発公社への無利子融資も、結局一般会計により市 が先行的に利子負担を行うもので、国がその1/4を負担するとはいえ、失政の咎めが財 政にしわ寄せされる事に替わりはなく、塩漬け土地を巨額に抱え込んだつけが市民に 転嫁される事に、行政責任者はその責任をもっと自覚すべきである。

     健全化対策に対する提言 

    1. .民間売却を促進すべき 
       平成17年度末保有地は平成11年度末保有高1311億円の1/2程度に削減されるのであ るが、供用済土地の340億円の再取得は必要としても、残る970億円は殆ど再取得を予定 していて、 民間売却は70億円に過ぎない。
       「水江町代替地」「南伊豆市民利用施設用地」を含め、殆ど再取得を予定しており、 結局大半の土地を市が抱え込んでの事業化は、後年度負担を一層膨らませ、市財政の硬 直化を益々増大させる事が必須である。売却損失の表面化を恐れずにもっと民間に処分 を図る事が重要である。
    2. .金利入札制度を直ちに実行すべき
       入札制度導入等による借入条件の改善は、この1月かわさき市民オンブズマンが強く その導入を求める申し入れを行ったところであるが、今回ようやく制度導入に向けての 取り組みが開始されるところとなった。
       これ迄の協調融資団との話し合いによる利率決定は「官製談合」というべきで、金利 上昇局面を迎えつつある中で、早期に公正かつ透明で効果的な競争入札制度を導入・実 行する必要があることは云う迄もない。
       尚平成12年9月現在の金利は、借入の大半である既存の借入金に対しては従来の 1.675%から0.025%上昇し1.7%となる。市の従来より金利が軽減されたかのような 説明は不適切である。
       市はこれ迄も一日6百万円の金利を要していることの責任の重さをもっと自覚する べきであり、この先国の金利補填交付金に依存する姿勢ばかりで許される事ではない。
    3. .土地開発公社の清算を開始すべき この先土地先行取得自体、抑制(6年間で30億 円)されていることは評価できる。 従って土地先行取得の必要性の無くなった事が自 他共に認められた以上、公社業務は全て市に『土地開発公社用地管理課』を設置した上 で吸収し、公社組織の実態を無くすると共に実質的な公社の清算に向かうべきである。
       尚、万一先行取得が必要な場合は、特別会計又は基金を活用し、あるいは補正予算の 編成の中で対応する事とすべきである。又、現公社事務所スペ−スは必要以上に過大で あり、直ちに縮小せしめて速やかに清算に向けた費用削減を開始すべきである。
    4. .議会報告要件には面積基準を撤廃すべき。
       用地取得依頼手続の改善についても所要の改善措置が取られ、議会の監視機能が回復 される事は喜ばしい。この点は平成11年7月にかわさき市民オンブズマンが請願した内容 と同旨のものであるが、この先公社による土地先行取得が殆ど考えられない状況になっ てからの事であるだけに遅きに失したところである。明確に 「面積基準」を撤廃し、 「金額基準」のみとすべきである。

       

    5. .川崎市他会計の塩漬け土地も解消すべき
       今回は土地開発公社保有地についての健全化施策であるが、川崎市ではこの他、「土 地先行取得特別会計」や「土地開発基金」でも別紙のとおり 塩漬け土地を抱えており、 これらについても早期に未利用地の処分及び有効活用が図られるべきである。
    6. .市全体の財政健全化対策を図るべき
       この先3年間で1,400億円の財源不足が生ずる予測に加えて、この土地発公社の財 政健全化対策は市の財政を今後更に大きく圧迫することとなる。
      この結果、市民福祉関連事業も大きく影響される事は避けられないと思われ、市財政の 硬直化を改善する施策が強く求められるところである。
      何よりも政令市の中で最高水準にある義務的経費の見直しが急務であり、中でも公債費 負担がこの先一層増大する事を考えれば、やはり政令市の中でも最高水準にある普通会 計に占める職員給の割合の高さの根本的な改善に加え、委託費、補助金や繰出金の見直 しが不可欠である。
     市政トップの責任 
     最後に、ここまで土地開発公社の経営を悪化させた行政の、問題先送り・事なかれ体 質を厳しく指弾すると共に、川崎市土地行政全体のこの失政につき、市政の最高責任者 たる川崎市長がまずその責任を自覚し、この健全化対策発表にあたり、市民に対し謝罪 があってしかるべきである。
                
    以上

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マイコンシティ売却損失48億円超の見込み
この行政責任をどうするか
 
代表幹事:奥田久仁夫
 市は11月2日売れないマイコンシティを2度目の値下げをして、今のITブーム に便乗して完売を期する旨の発表を行った。
 その上で組合から平成14年度末に引き取ることになっている15区画の用地を、 今年度中に取得する為の補正予算案を提出した。組合からの購入契約価格223千円(u 当)に対し公売価格を183千円(u)としたため、完売したとしても約16億円の損失 が生ずることとなる。
もちろん完売の保証は何もないだけに、この先損失がもっと拡大することは必至である。  値下げの理由は実勢価格に合わせる為ということで、地価の引き続いての値下がりに 対処仕切れなかった事と同時に、横浜市が新横浜駅周辺に開発中の横浜市版「マイコン シティ」が完成してからでは、もはや完売は不可能との判断に立つものであろう。
  かねてから川崎マイコンシティは立地条件が悪く、事業者に購入意欲が見られないのは そのせいであると指摘してきたところである。安くしてどれだけ企業のニ−ズと折り合 えるのか、状況は極めて厳しいものがあろう。

 市長は進出企業がくれば税収が年9億円増え土地売却の損失はすぐに回収できるとし ているが、当初価格設定から見れば損失の累計はどれ程に上っていることか。
土地開発公社の現所有分だけでもこの値下げにより30億円以上の損失が生じ、合わせて 48億円を超える損失がこの先市民の税金を食いつぶす。全部が黒字事業者で埋まる可能 性はないだけに、こんな甘いソロバン勘定で、その場しのぎの言い訳などもってのほかで ある。明らかに行政は当初の事業計画を見誤まり、更にその後の経済動向の変化への対処 を誤った。

 民間では特に来年3月末の企業資産の時価会計導入を目前にして、かねてから不要の土 地の損切り処分に必死である。そんな中、民間企業の責任者は、その企業の籍にどれだけ の人が留まっているのであろうか。多くの人が厳しいリストラの中で充分な退職金も貰え ずに企業を追放されていることであろう。
 そんな民間の厳しさに比べ、行政はこれだけの巨額な損失を市民に負担させながら、誰 一人責任をとるという状況にない。地価下落は我々の責任ではないとばかりに、無責任に 知らぬ顔をきめこんでいる。今マイコンシティの事業に取り組んでいる職員はこの事業の スタ−トに関わった職員ではない。従って過去の経緯からきた今の損失に対しては責任の 自覚がない。こうして行政の無責任感覚だけが継続してゆく。迅速な対応は期待するべく もない。

 さて、その行政に今回のこの巨額な損失の責任をどう自覚させ、追求してゆくことが出 来るのか。難題ではあるが、少なくともマイコンシティ事業組合の平成11年11月24 日付 1u22万円の売買の契約は、その第7条で「事情変更による見直し」がうたわれて いるのであり、値下がりによる損失を市だけが負担する云われはないと考える。
 常識的には損失を折半する交渉が可能と思われるのだが、市はどのように対応したのか 今後の責任追及の一つのポイントであろう。
 しかしそれにしてもこのマイコンシティ事業の仕組みはよく解らない。小田急を含む地 元地権者は、只同然で取得したはずのこの土地の造成工事費は、既に市より土地開発公社 経由の土地購入で賄われているはず。残りは売れれば全部「儲け」としたら、市だけが損 失を被るというこの仕組みは、市民にとって余りにも不合理である。
 総事業費は一体いくらなのか、少なくともマイコンシティ事業組合会計の公開が、行政 の、従って市民のこの巨額な損失負担の前提として必要欠くべからざる要素であろう。 その上でマイコンシティ事業の行政責任を今後の土地売却状況をにらみつつ、しっかり見 据えてゆきたいと考える。
          

奥田記