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塩漬け土地問題レポート

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 塩漬け土地問題レポ−ト
                       代表幹事 奥田久仁夫

川崎市土地開発公社健全化対策に対し「市民オンブズマン見解」を表明
 全国最悪の塩漬け土地を抱える川崎市は、10月20日、国の支援をバックに、 自治省の経営健全化対策第1号の指定を受けた。
 しかしその内容は、土地開発公社の不健全経営を市の財政に移し替えるだけの、 いわば川崎市の「財政不健全化対策」というべきものであった。  もっと民間処分に重点を置き、これ以上の財政負担を避けるべきであるのに、 たった5%だけの民間売却では、市財政の将来負担は膨大である。
 早速、内容の見直しを求め「見解」を表明すると共に、自治省にも市民オンブ ズマンの「見解」を持参し、これが全国の健全化モデルとならないよう申し入れ た。

 尚、この申し入れは全国市民オンブズマン連絡会議で改めて自治省に申し入れ を行う予定である。
 自治省では、「市の対策内容が"絶対不変"というものでなく、健全化の趣旨が 損なわれない事が重要」との認識を示し、市の「変えられない」とする主張に根 拠のないことが判明している。
 そもそも市が「変えられない」とするならば、事前に市民にその対策内容を公 表し、意見を求めるべきであるが、我々の事前の情報公開請求に対し「自治省の 承認がおりていない」ことを理由に情報開示を拒否し、内容が判った時には「も う変更出来ない」と言うのでは、市民不在・市民無用の土地行政である。こんな 市の対応に呆れつつ、以下に「見解」の全文を掲げる。

見 解
 健全化対策への評価 

  1. .経営健全化への取り組み
     川崎市が政令市の中で塩漬け割合ワーストワン(87.6%1148億円)、道府県、 県庁所在市の中にあっても、和歌山県(88.4%626億円)に次いで塩漬け割合が 最悪の公社経営を行っている中で、国の財政支援に頼りながらではあるが、よう やく全国に先がけて経営健全化に向けた取り組みが開始された事は評価される。
     しかし、本来市の自助努力により経営健全化が求められたところであり、「国 の支援を受けて」という点で評価をする事はできない。
     国の支援、即ち特別交付税の交付も結局国民の税金から捻出されるのであり、 自治体の云わば失政が、 市民・国民の税により補填される結果となる事は誠に 遺憾である。
  2. .市財政全体では健全化対策とならない 土地開発公社保有地の再取得資金 に市債の発行粋が得られ、かつ、その金利が一部そもそも土地開発公社の経営健 全化対策としながら、殆どの土地を市が再取得する計画を打ち出している事では、 真の健全化とはなりえない。
     もっと民間へ処分する事を考えるべきである。そうでなければ市財政に土地開 発公社の不健全性が移転するだけのことであり、市財政全体の健全化 とはなりえ ない。

 健全化対策の問題点

 
  1. . 総て事業化する事を選択することにより、再取得及びは事業化迄の期間が余 りにも長期間にわたる為その間の金利だけで平成17年度迄で146億円にのぼると試 算される。
     18年以降再取得される658億円(市の試算額)分の金利はその後事業化迄を含め 更に多額な金利負担を要するところであり、3%の事務費を要する事を含め無理な 再取得・事業化の金利負担は国の一部利子負担があるとは言え市の財政を更に圧迫 する事となる。
  2. .時価を超える再取得価格について
     再取得は総て簿価によるのであろうが、公共用地購入価額については、公拡法第 7条により「公示価格」を基準として算定した価格(時価)による事とされている のであって、川崎市の再取得価格(簿価)と当該算定価格 (時価)との著しい開差は 違法不当な財政支出というべきである。
     市と土地開発公社との間での契約書では、取得価額に金利等を上乗せした簿価に よることが定められているのであるが、地方自治法第2条14項の 「最小の経費で最 大の効果を上げる」とする財政支出の根本理念である「経済性の原則」、更には地 方財政法第4条1項の「地方公共団体の経費は目的達成の為の必要最小限度を超えて はならない」とする趣旨に大きくもとる場合は、その財政執行の行政責任を改めて問 わざるを得ないと思慮する。
     特に「当初購入目的」を変更し、公園緑地等緑地保存地区としての再取得予定地は、 売却すれば巨額な損失が生じ、しかも他に適切な公共事業目的への転用が不可能な土 地であるところからの市の苦肉の策であろうが、時価よりはるかに高額な緑地再取得 となることには、せめて市の責任者の自戒の弁があって然るべきである。
  3. .自己資本による売却損失補填について
     同様に、自己資本の活用として不用土地の民間直接売却を行う場合の、簿価・時価 の差額(売却損失)への補填財源に、土地開発公社の自己資本(準備金)を充当する事 としているが、この準備金原資は市の一般会計等より土地開発公社に対し「事務費」 として支払われたものを財源とする剰余金である。
     不要不急の土地取得の失政が、結局こうした市民の税金を財源として補填され、行 政責任が全く追及されることなく処分が進められるシステムでは、この健全化対策に 市民の百%の支持は得られないものと考えて戴きたい。
     個々の土地処分損失につき、当該土地の取得依頼を行った各事業局の責任を明確に するよう求めるものである。
  4. .転貸債による無利子融資について
     転貸債110億円の発行による土地開発公社への無利子融資も、結局一般会計により市 が先行的に利子負担を行うもので、国がその1/4を負担するとはいえ、失政の咎めが財 政にしわ寄せされる事に替わりはなく、塩漬け土地を巨額に抱え込んだつけが市民に 転嫁される事に、行政責任者はその責任をもっと自覚すべきである。

     健全化対策に対する提言 

    1. .民間売却を促進すべき 
       平成17年度末保有地は平成11年度末保有高1311億円の1/2程度に削減されるのであ るが、供用済土地の340億円の再取得は必要としても、残る970億円は殆ど再取得を予定 していて、 民間売却は70億円に過ぎない。
       「水江町代替地」「南伊豆市民利用施設用地」を含め、殆ど再取得を予定しており、 結局大半の土地を市が抱え込んでの事業化は、後年度負担を一層膨らませ、市財政の硬 直化を益々増大させる事が必須である。売却損失の表面化を恐れずにもっと民間に処分 を図る事が重要である。
    2. .金利入札制度を直ちに実行すべき
       入札制度導入等による借入条件の改善は、この1月かわさき市民オンブズマンが強く その導入を求める申し入れを行ったところであるが、今回ようやく制度導入に向けての 取り組みが開始されるところとなった。
       これ迄の協調融資団との話し合いによる利率決定は「官製談合」というべきで、金利 上昇局面を迎えつつある中で、早期に公正かつ透明で効果的な競争入札制度を導入・実 行する必要があることは云う迄もない。
       尚平成12年9月現在の金利は、借入の大半である既存の借入金に対しては従来の 1.675%から0.025%上昇し1.7%となる。市の従来より金利が軽減されたかのような 説明は不適切である。
       市はこれ迄も一日6百万円の金利を要していることの責任の重さをもっと自覚する べきであり、この先国の金利補填交付金に依存する姿勢ばかりで許される事ではない。
    3. .土地開発公社の清算を開始すべき この先土地先行取得自体、抑制(6年間で30億 円)されていることは評価できる。 従って土地先行取得の必要性の無くなった事が自 他共に認められた以上、公社業務は全て市に『土地開発公社用地管理課』を設置した上 で吸収し、公社組織の実態を無くすると共に実質的な公社の清算に向かうべきである。
       尚、万一先行取得が必要な場合は、特別会計又は基金を活用し、あるいは補正予算の 編成の中で対応する事とすべきである。又、現公社事務所スペ−スは必要以上に過大で あり、直ちに縮小せしめて速やかに清算に向けた費用削減を開始すべきである。
    4. .議会報告要件には面積基準を撤廃すべき。
       用地取得依頼手続の改善についても所要の改善措置が取られ、議会の監視機能が回復 される事は喜ばしい。この点は平成11年7月にかわさき市民オンブズマンが請願した内容 と同旨のものであるが、この先公社による土地先行取得が殆ど考えられない状況になっ てからの事であるだけに遅きに失したところである。明確に 「面積基準」を撤廃し、 「金額基準」のみとすべきである。

       

    5. .川崎市他会計の塩漬け土地も解消すべき
       今回は土地開発公社保有地についての健全化施策であるが、川崎市ではこの他、「土 地先行取得特別会計」や「土地開発基金」でも別紙のとおり 塩漬け土地を抱えており、 これらについても早期に未利用地の処分及び有効活用が図られるべきである。
    6. .市全体の財政健全化対策を図るべき
       この先3年間で1,400億円の財源不足が生ずる予測に加えて、この土地発公社の財 政健全化対策は市の財政を今後更に大きく圧迫することとなる。
      この結果、市民福祉関連事業も大きく影響される事は避けられないと思われ、市財政の 硬直化を改善する施策が強く求められるところである。
      何よりも政令市の中で最高水準にある義務的経費の見直しが急務であり、中でも公債費 負担がこの先一層増大する事を考えれば、やはり政令市の中でも最高水準にある普通会 計に占める職員給の割合の高さの根本的な改善に加え、委託費、補助金や繰出金の見直 しが不可欠である。
     市政トップの責任 
     最後に、ここまで土地開発公社の経営を悪化させた行政の、問題先送り・事なかれ体 質を厳しく指弾すると共に、川崎市土地行政全体のこの失政につき、市政の最高責任者 たる川崎市長がまずその責任を自覚し、この健全化対策発表にあたり、市民に対し謝罪 があってしかるべきである。
                      以上

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 マイコンシティ売却損失48億円超の見込み
この行政責任をどうするか
                代表幹事 奥田久仁夫

 市は11月2日売れないマイコンシティを2度目の値下げをして、今のITブーム に便乗して完売を期する旨の発表を行った。
 その上で組合から平成14年度末に引き取ることになっている15区画の用地を、 今年度中に取得する為の補正予算案を提出した。組合からの購入契約価格223千円(u 当)に対し公売価格を183千円(u)としたため、完売したとしても約16億円の損失 が生ずることとなる。
もちろん完売の保証は何もないだけに、この先損失がもっと拡大することは必至である。  値下げの理由は実勢価格に合わせる為ということで、地価の引き続いての値下がりに 対処仕切れなかった事と同時に、横浜市が新横浜駅周辺に開発中の横浜市版「マイコン シティ」が完成してからでは、もはや完売は不可能との判断に立つものであろう。
  かねてから川崎マイコンシティは立地条件が悪く、事業者に購入意欲が見られないのは そのせいであると指摘してきたところである。安くしてどれだけ企業のニ−ズと折り合 えるのか、状況は極めて厳しいものがあろう。

 市長は進出企業がくれば税収が年9億円増え土地売却の損失はすぐに回収できるとし ているが、当初価格設定から見れば損失の累計はどれ程に上っていることか。
土地開発公社の現所有分だけでもこの値下げにより30億円以上の損失が生じ、合わせて 48億円を超える損失がこの先市民の税金を食いつぶす。全部が黒字事業者で埋まる可能 性はないだけに、こんな甘いソロバン勘定で、その場しのぎの言い訳などもってのほかで ある。明らかに行政は当初の事業計画を見誤まり、更にその後の経済動向の変化への対処 を誤った。

 民間では特に来年3月末の企業資産の時価会計導入を目前にして、かねてから不要の土 地の損切り処分に必死である。そんな中、民間企業の責任者は、その企業の籍にどれだけ の人が留まっているのであろうか。多くの人が厳しいリストラの中で充分な退職金も貰え ずに企業を追放されていることであろう。
 そんな民間の厳しさに比べ、行政はこれだけの巨額な損失を市民に負担させながら、誰 一人責任をとるという状況にない。地価下落は我々の責任ではないとばかりに、無責任に 知らぬ顔をきめこんでいる。今マイコンシティの事業に取り組んでいる職員はこの事業の スタ−トに関わった職員ではない。従って過去の経緯からきた今の損失に対しては責任の 自覚がない。こうして行政の無責任感覚だけが継続してゆく。迅速な対応は期待するべく もない。

 さて、その行政に今回のこの巨額な損失の責任をどう自覚させ、追求してゆくことが出 来るのか。難題ではあるが、少なくともマイコンシティ事業組合の平成11年11月24 日付 1u22万円の売買の契約は、その第7条で「事情変更による見直し」がうたわれて いるのであり、値下がりによる損失を市だけが負担する云われはないと考える。
 常識的には損失を折半する交渉が可能と思われるのだが、市はどのように対応したのか 今後の責任追及の一つのポイントであろう。
 しかしそれにしてもこのマイコンシティ事業の仕組みはよく解らない。小田急を含む地 元地権者は、只同然で取得したはずのこの土地の造成工事費は、既に市より土地開発公社 経由の土地購入で賄われているはず。残りは売れれば全部「儲け」としたら、市だけが損 失を被るというこの仕組みは、市民にとって余りにも不合理である。
 総事業費は一体いくらなのか、少なくともマイコンシティ事業組合会計の公開が、行政 の、従って市民のこの巨額な損失負担の前提として必要欠くべからざる要素であろう。 その上でマイコンシティ事業の行政責任を今後の土地売却状況をにらみつつ、しっかり見 据えてゆきたいと考える。
                  記:奥田



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 黒川農業地区に疑惑の用地発見!
 

疑惑の用地第1弾
 川崎市財政管理局管財課より、土地開発公社保有土地の所在地図の情報開示を受 けることができた。これ迄は所在地(地籍所在地で住居表示ではない)の情報公開 を受けても、現地を探し出すのに随分と骨をおったものである。
 麻生区の市民集会を前に、地図を開いて驚いた。多摩市と接する麻生区黒川の川 崎市最西端に「農業公園」とする土地が黒く塗られていた。
 公園とするには所在地が検討はずれの感があり、早速現地に行ってみた。しかし 地図があっても似たような谷戸の地形でなかなか場所が特定できず、地元の人に尋 ね歩く始末。地元の人から「ここら辺がそうだが、あちこちにあるよ」との返事。 一ヶ所だけの筈なのに ? と思い乍もようやく土地開発公社の「農業公園用地」 を発見。しかし、そこは山林で「農業公園」と称するにはほど遠いものであり、し かも、「三菱重工業(梶j管理地」の看板が立っていた。
 川崎市は山が好きだなと呆れながら、しかしそれにしても、12,240uの山林を、 平成9年に5億4千万円、坪当たり15万4千円で取得している。
 この用地は農地ならいざしらず、市街化調整区域内の接道の無い山林なのである。 あまりに高額すぎないか ? それにもまして公共用地として全く不向きに思われる この土地取得は極めて異常であり、徹底的に調査をする事となった。

疑惑の用地第2弾
 さて公社の土地を探すなかで「あちこちにあるよ」との地元農家の人の言葉が気に なり調べてみると、「用地先行取得特別会計」のなかに「農園用地」として「黒川 1905他」とする取得用地が存在する事が判った。
 そこで登記所で公図の交付を受け「1905」の地番の所在地を確かめに現地に 出向いた。探し出す苦労はさておいて、ようやく見つけ出したその土地は、多摩市 と川崎市との市境の山道の途中にあって、ほぼ多摩霊園の裏側に、もう古くなった 杭と針金に囲まれてひっそりと存在していた。
 4時を過ぎ薄暗くなってきた中で、かなり急な斜面の山林は下まで見下ろす事は 出来ない。
しかし少なくとも「農園」とはなりえない地形であり、加えて市が山の中のほんの 一角を買ったとしても、全体として整合性のない用地取得では山林に札束をばらま いているのに等しい。
 こんな用地取得が特別会計で他に3筆も在ることが判明したが、市は何故かその 3筆の地番をすぐに公表することをためらって、「内部で検討してから」との返事 である。待つこと暫し、11月24日にその回答を受けたが、何と非公開。
 昨年7月、市土地開発公社で同じ所在地の非公開に住民訴訟で対応、市はすぐに 謝罪し公開するので訴訟の取り下げをとの要望に応じたばかりであった。早速情報 公開室に出向き、その前例を引き合いに公開を強く求めたが、馬の耳に念仏。つい に怒り爆発、自称紳士の私も江口氏共々つい大声を出すはめになってしまった。
 最終的には非公開措置はあり得ないであろうが、誠に残念なことに不都合な情報 はすぐ隠そうとする市のその姿勢はなかなか改まらないようである。
 いずれにせよこの土地も訴訟を前提とした調査の対象である事は間違いのない所 である。
                 記:奥田

追記@
 11月27日、市は正式に「代表地番以外の3筆の地番は公開出来ない」と回答 してきた。
 この情報公開の後退には呆れるばかりであるが、同時に平成5年、9年の意味不 明の山林買いにはますます疑問が深まり、地番公開要求は2000年最後の重要課 題の1つとなった。
尚12月3日、市民フォ−ラムとの合同土地視察ツア−を予定しています。山道を 「ハイキング」気分でご参加下さい。

追記A
 市には「オンブズマン対策プロジェクトチ−ム」なるものが秘密裏に組織されて いて、弁護士を含め、我々の要求と行動のチェックを行っているとの「噂」が聞こ えてきました。
 この市の対応も、何やらその辺りの指示という感触があります。監査結果もその 影響があるのではという気がします。
 益々ファイトを燃やして頑張りましょう。


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 バザーを終わって
(草柳悠紀子)
 

 11月25日は小春日和にめぐまれて、予定通りバザーを行いました。 値づけ、当日と手伝いしていただいた方、当日買いに来て下さった方々、 本当に有難うございました。  今回のバザーは、一言でいえば、現在の世相(不況の中)をみごとに反映し、 売上が伸びず、少しにとどまりました。この中でわかったことは、春の時以上に、  ○無駄なものには、手を出さない  ○3年以上も立った古着は一切売れない  ○雑貨がとても少なくなった  などでした。本当にみんなきびしいナと痛感しました。この様な状況の中で 得た利益は益々貴重といえます。ご協力、ありがとうございました。