● KCT損失補償損害賠償請求、意見陳述
(2005.3.16. 川崎市監査委員室))
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(事務局長:清水 芳冶) |
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京急と川崎市の出資比率を再検討せよ 事務局長 清水芳治 3月2日の朝日新聞を見て驚いた。「京急大師線地下に 踏切渋滞解消狙い 市が事業費負担着工へ」 という大見出しが眼を奪った。総事業費1470億円の大半を川崎市が負担する。「市立体交差課は『鉄 道輸送の強化などであれば鉄道事業者の負担も増えるが、今回は踏切事故や渋滞の解消など道路整備 の一環のため』と説明している」。 かわさき市民オンブズマン幹事会は直ちに本事業の資金計画の情報公開請求を行うことを決定した。 3月29日に公開された情報によれば、国庫支出金26%弱、京急5%強、後70%弱、1010億円が市の負担と なる。 京急大師線は黒字路線といわれている。ここに市長の大好きな受益者負担なる概念を導入すれば、 京急は道路渋滞を引き起こしながら営業収益を上げていることになるはずであるから、京急自身の資 金で渋滞を解消する社会的責任があるということになるのではなかろうか。計画ではまるで市が京急 にお伺いを立てて地下化させて頂いているようにみえて仕方ない。たとえば、地下化した鉄路は京急 のものになり、廃線跡地は京急の所有地のままであることなどがその証左となるであろう。 踏切がなくなれば道路事情は好転することはその通りである。だが、果たして今着手しなければな らないのか。そして事業費をそれほど市が負担しなければならないものなのか。 ひところモータリゼイションと声高に叫ばれ、そこのけそこのけ車が通る、で路面電車が廃止され た。しかし最近は交通信号系統の改善で自動車と路面電車が共存する都市交通計画が立案されている。 踏み切りの数を15と数え上げれば正にその通りだが、念のために大師線沿いを歩いてみたところ、 昼間のためか渋滞しそうな箇所は、産業道路と国道409号線(府中街道)の2箇所、都合3箇所の踏み切 りだけのように思えた。例により公共事業を開始する際に行政が使う誇大広告の嫌いなしとしない。 そして、その渋滞が直ちに1010億円をかけて解消しなければ、市民にとって耐え難い苦痛となって いるのかどうか、である。先にも触れたように、遮断機と道路信号の連携を図り、当面いささかでも 渋滞を緩和できないかを検討したのだろうか。 この記事を見てびっくりしたのは、それだけではない。かつて阿部市長は、川崎市が現在のままの 財政状況を続けていれば、市は財政再建団体に転落する、出るをとめ、市財政を救うといって立候補 した人だったはずである。いつから川崎市は地下鉄も神奈川口も大師線地下化も実行できるような、 財政富裕団体になったのかを説明していただいていないからでもある。 ただここで、地下鉄(計画中)の小田急線相互乗り入れ、武蔵小杉経由、川崎駅京急大師線連絡、 そして鉄道による東京国際空港への接続という、路線連結もはっきりしない継ぎ接ぎだらけの壮大な、 浪費を伴う都市計画が眼前に浮上したことは確かである。 |
(2005.3.16. 川崎市監査委員室) |
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★:KCT監査請求陳述要旨KCT監査請求陳述要旨 江口武正 今回は、9億円の銀行に対する損失補償の監査請求であるが、その法律的な解明については篠原弁 護士にお任せし、損失補償に立ち至った背景である全般的なKCTの問題点、特にコンテナ貨物が川 崎港に来ないという、問題の本質について陳述した。 コンテナ貨物が来ないためKCTの経営が成り立たず破産を迎えたわけだが、川崎市はその根本原因 を除去する対策を立てられず、根本原因を放置したまま税金を投入し、KCT問題を解決したと白を 切る市の姿勢を強く非難した。 川崎市はその時々で身勝手な主張をしている、すなわち我々の監査請求に対する回答では「ポート セールス」を川崎市自身も行い、コンテナ量を増加させ経営を立て直す、であった。しかしながら コンテナは増加せずKCTは破産に至った。川崎市はこの欺瞞を謝罪すべきだが、まったくのほっか ぶりである。 また、市がKCTに破産の引導を渡す際には、KCTは経営計画を立案できず、黒字化の計画も提出でき ない状況であり、KCTは当事者能力がないとしてKCTの破産申し立てを裁判所に川崎市自身が実行し たのである。 さぞや素晴らしい、厳しい改革を実施するであろうと我々はおおいに期待していた。しかしながら 川崎市は、コンテナ事業の将来計画など立てず、港湾事業の赤字の状況も判らないように隠蔽し、 コンテナ量の計画もまったく考えず、ただ税金によって安易に過去の赤字を処理したのである。 コンテナ事業問題の解決には 1. コンテナ量を増加するための最大限の努力を行い、取扱量を確保すること。 (但し、国際状況を見ても、横浜・東京に挟まれている状況から見ても、それが不可能である事を 我々はかねてから主張している。) 2. コンテナ貨物が来ないのであれば、コンテナ港を一般港に変更する等の根本対策が不可欠で ある。 この2案しかないのだが、川崎市は当面の金融面の問題を貴重な税金を使って処理し、根本対策を 回避したのだ。 市は3億円の資本金を溝に棄て、9億円を銀行に支払い、ガタの来ている「門型クレーン」を3億円 で引き取り、KCTが使用していた施設を維持管理する費用を全額負担したのである。これではまっ たく解決になっていないと川崎市の無策を批判した。 我々の陳述のあと、川崎市の港湾局の方々が監査委員に反対の陳述をしたが、その際、監査委員が 我々の陳述を利用して質問をするものと期待していた。が、全く我々の陳述に関連しての質問がな かったことは甚だ残念である。 「今後のコンテナ量の増加は見込まれるのか」程度の質問はしてほしかった。*************************************************** ★:何で行政府が株式会社の後始末をするのか 2005年3月16日 何で行政府が株式会社の後始末をするのか 意見陳述者 清水芳治 何故、川崎市は損失補償しなければならなかったのか。何故、損失補償であって債務保証ではな いのか。川崎市は損失補償と債務保証との相違をこれまで公の場で説明したことがあったのか。 そもそも担保とすべき資産もない株式会社KCTに銀行は何故、融資したのか。KCTの事業発展に期 待したのか。そうではあるまい。激しい国際競争下にあるコンテナ事業で、ただクレーンを備えた だけのKCTが勝ち抜くなどとは調査力のある銀行が考えるはずがない。不良債権になることを予測 しながらも融資に応じたのは、常に良好な関係を保持したい川崎市長からの依頼のためであろう。 逆に、川崎市も承認した当時のKCT収支計画によれば、KCTの事業は前途洋々たるものであった。 だとすれば、川崎市ではなく、何故、川崎市長高橋清氏個人が債務保証しなかったのか。川崎市が 損失補償するということは、もしこの補償協定が有効であるならば、KCTが破綻すれば直ちに川崎 市から公金が流出することを意味するのに。行政府が株式会社の損失を補償するなどという協定を 結ばなければ、本日の問題も生じなかったはずある。 監査請求書9ページに指摘したように「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」施行下 にあって協調融資団、旧KCT及び川崎市の三者が締結した協定は損失を補償する協定となっている。 日本経済界を主導し、多くの優れた顧問弁護士を抱え、権利事案に精通する銀行、また総務局に 法制課を置き行政機関として法を遵守することを義務付けられている川崎市が、この法律を知ら ないはずはない。 そこで債務保証という直截な文言を用いれば直ちに違法行為となることを知悉していたので、相計 って損失補償と表現することとし、違法性を糊塗しようとしたものと判断せざるを得ない。 それだけではない。往時の自治省は債務保証の禁止に留まらず、損失補償という脱法手段も禁止す るに至った。平成7年9月25日付の川崎市長 高橋清名の株式会社横浜銀行代表取締役平澤貞昭他あ ての文書は「自治省からの通達により、その損失補償は見合わせる」とし、これからは「経営指導 念書」を出すという。こうした事実からも、両者とも違法と知りながら行った行為であることは明 らかである。そして違法であることを知りながら結んだ協定の効力が無効であることを両者とも当 然、承知していたはずである。従って、川崎市は協調融資団の債権を無視し、債務の履行を中止す ればよかったのである。 和解で法的効力のない指導念書期間に発生した債権を融資団は放棄した。何故、法律違反で無効の 協定に基づく債権は放棄しなかったのだろうか。何故川崎市は指導念書期間の債権の放棄を要求し ながら、損失補償は有効と判断したのだろうか。 このように前川崎市長は違法の契約を結び、現市長は無効の契約を追認して債務を履行したのであ るから、両市長は共同して川崎市がこうむった損害を補填する責務がある。 付け加えていうならば、私たち川崎市民を代表し、川崎市のする違法な債務負担行為を停止させる 権能をもつ川崎市議会が、平成6年3月議会には「債務負担行為」をさしたる論議もなく議決し、平 成16年12月議会には「和解」行為を理事者側の提案するがままに漫然と議決してしまっていること に一市民として暗澹たる気持ちを抱かざるを得ない。市議会が行政をもっと厳しく監視すればこう した事態を未然に防ぎ得たはずなのだから。********************************************************* ★:意見陳述 佐々木玲吉 今までKCTに関しては経営が成り立たないことが何度も指摘されてきました。しかし前市長はKCT は川崎の宝であるとし、その必要性はますます増大すると強弁していました。けれどもその背後で は莫大な市の予算を使い、ポートセールスを行ったり、ガントリークレーン使用料の無料化の決定 をしましたが、経営収支は好転せず、遂に破産という事態に立ち至りました。 私は一市民として、法には詳しくありませんが、あまりにも理不尽と感じ、この度の監査請求に 参加したものであります。********************************************************* ★:KCT破産処置に対する請求 2005年3月16日 川崎市川崎区田島町9−18 かわさき市民オンブズマン 幹事 望月 文雄 私が感じている問題点は社会的倫理責任の明確化です。 一 川崎港コンテナターミナル建設構想の記録。昭和53年12月に川崎市が発行した「川崎港港湾 計画・調査報告書―東扇島埠頭計画―」という文書の中の、今後のあり方という項目の中に、 「コンテナ貨物の伸びに対応したコンテナ埠頭の整備」という小項目が存在する。 このような計画を持ちながら、どのような背後構成が必要なのかという基本構成が示されてい ない。市場調査、輸出入商社、商店の誘致、育成などの、開発基本計画が皆無」だ。 二 第三セクターとしてのKCT設立が市議会の承認を受けていない。川崎市の港湾設備として、 平成6年6月議会において、議案第69号から75号までの議案は東扇島コンテナヤード基盤整備か ら東扇島コンテナヤード受変電設備工事請負契約の締結について、という設備工事の議案であ って、「第三セクターKCT」の設立要請議案ではない。この第三セクターは議案として提出 されていない。 三 回議書「6川港開第90号」で承認された(損失補償)が、昨年12月議会で承認を受けて、今年 1月14日に金融機関3行への損失補償されたが、回議書「7川港庶題540号」では(経営指導念書) と文言内容が書き改められた。それゆえ、平成7年以降のKCTの金融機関3行からの借入金の 返済義務を川崎市は負わない形態となり、3行からの融資金48億円以上が3行の不良債権となっ た。筆頭株主で、港湾設備の所持者である川崎市の詐欺的行為であると一市民には思えてなら ない。 よしんば、裏工作で、損失に見合う形で何らかの便宜を与えるというような約束がなされても、 市民には考えられない、不道徳な闇取引である。全容を白日の下に晒し、市民の了解を得るべ きである。**************************************************** ★:KCT監査請求の補充意見 篠原義仁 1 KCTのために川崎市(高橋市長)が、平成6 年5月10日に銀行団との間で損失補償契約を締結し、 それをうけてKCTが破産したことに伴ってその履行として平成17年1月14日に川崎市(阿部市長) が銀行団に9億円の支払いを行った。 私たちは、損失補償契約に基づくこの公金の支出は、実質上、「法人に対する政府の財政援助 の制限に関する法律」が禁止する保証契約にほかならないとして、前記支出金相当額を高橋前 市長と阿部現市長は共同の責任でその損害の補填のため、川崎市に対し損害賠償の責任をとり 支払うべきであるとして、監査請求を行った。 その詳細は、昨年12月9日の集会レジメと今回の監査請求書ですでに述べたとおりとなっている。 これに対し、川崎市は3月16日の監査請求に係る意見陳述の場で、オンブズマン意見に反論して その答弁を行った。そして、川崎市は、大牟田市の潟lイブルランド事件に関連した判例の引 用を行い、両市長の損害賠償責任を否定するに至った。そこで、オンブズマンとして以下のと おり、再反論を行なったので、ここに紹介をしておく次第である。 2-1. 損失補償と債務保証について (1) 川崎市は、文言の違いを前提とした上で、形式的、抽象的に両者の差異を強調し、その主張 を展開している。しかし、本件に係る損失補償の法的性質の解明は、本件損失協定書(KCT)の 内容を分析し、実体的、具体的に行われる必要がある。 (2) 川崎市は、債務保証にあっては、その目的又は態様が主たる債務者より重いことは許されな いが、損失補償にはその制限はないと形式論を展開する。しかし、本件損失補償契約を検討し てみると市のKCTに対する銀行団の融資限度額は、川崎市の特別会計予算に定める、市のKCTに 対する損失補償額を限度とすること(第1条)、と定められ、その結果をうけて川崎市が川崎市 議会の議決をえて確定したその限度額は9億円となっていて、KCTの銀行団の債務総額の約6分 の1にすぎない。 従って、本件の損失補償にあっては主たる債務額の限度を超えることはなく、その実体は債 務保証と同一である。 また、その目的、態様も前記融資金について銀行団が「損失額を被った場合」に市がその「損 失を補償」するもので、その実体において債務保証と同一で、事実、川崎市として平成17年1月 14日に平成16年12月27日和解に基づいてその支払いを履行しているところである。 なお、川崎市は、損失補償にあってはその責任の範囲は「損失」の一定割合又はその一部とす ることができるとしているが、そして、事実、本件にあっても、特別会計予算で定めた9億円 が限度となっていることは前述のとおりであるが、しかし、その目的、態様及び「損失補償」 が生じる契約上の要件は前述のとおりで債務保証と同一のものとなっている。 (3) 川崎市は、求償権行使につき、保証債務は契約上の明文がなくても行使でき、他方損失補償 は、明文規定がなければ求償権行使はできない旨主張する。しかし、これは保証債務以上に損 失補償がリスクが大きい危険なものということを自白する主張にほかならず、法律上の大小関 係に例えれば、求償権に係る保証債務の要件は、当然にこの大小関係に包摂されるものであり、 従って、損失補償の法的性格も、その限りにおいては、一部求償権行使のできる場合のそれは 保証債務のそれと同一といってよい。 すなわち、必ず求償権の行使ができる保証債務以上に損失填補の回収に困難を来す損失補償契 約の締結は、自制的で、抑制的であるべきであり、従って、この点の差異を強調する川崎市主 張は何ら合理的理由となっていないというべきである。 (4) 川崎市は保証債務にあっては主たる債務の遅滞を要件として履行責任を負うのに対し、損失 補償ではこのことを要件としない、というまたまた形式的観念論の主張を展開している。 しかし、本件にあっては「損失補償」の用語を使いつつも、その実体は、KCT(主たる債務者)が 弁済期限後3ヶ月を経過した時点で、債務を完済しないときは、川崎市は銀行団の請求に対し、 「遅滞なく損失補償金を交付する」(第5条)と約定しているのであり、まさに主たる債務の遅滞 がその支払要件となっているところであり、その実質は保証債務にほかならない。 (5) つまり「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」(昭和21年法律4号)第3条は、 「政府又は地方公共団体は、会社その他の法人の債務については、保証契約をすることができ ない」と規定しているところ、本件融資協定書は、形式上、これを避けるため、あえて「債務 保証」といわず「損失補償」という文言を用いて脱法的な「工夫」を試みているが、この契約 内容を具体的に検討すれば明らかのとおり、本件協定書では一定限度額の支払いということと なっているが、主たる債務の単なる履行遅滞が「損失補償」事由となっているのであり、従っ て協定書第5条は、その実体的内容においてまぎれもなく法の禁止する債務保証にあたるもの となっている。 2-2. 大牟田市の株式会社ネイブルランド事件の判例について (1) 詳細な検討は、同社にかかる損失補償協定書と本件のKCTに係る損失補償協定書の逐条的比較、 検討が必要となっているが、現時点において監査請求人は前者の損失補償協定書を入手してい ないので、それに係る意見補充は留保することとする。但し、その比較、検討を試みるまでも なく、本件損失補償協定が、法の禁止する債務保証にあたることは前述したとおりである。 (2) ところで前記判決(差止請求)では前記会社に係る「損失補償契約が違法であるとしても、そ れが私法上当然に無効とはいえない場合には、契約上の債務の履行として行われる支出行為自 体は違法ということはできず、差止めを請求することはできない」(最判62.5.19第三小法廷)と いうことを前提にし、その上で損失補償契約が無効といえるかどうかの検討を行っている。そ の実体的部分の検討について、判決は要旨次のように判示した。すなわち、「市から業務委託 を受けた複数のコンサルタント会社が平成2年から同4年にかけて提出した報告書も、本件各損 失補償契約の違法性をただちに基礎付ける根拠資料とはいい難く、本件各損失補償契約の内容 及び本件テーマパーク事業の目的・性質にかんがみると、本件各損失補償の締結が、公共性な いし公益性がなく市長としての裁量を逸脱又は濫用するものとして一見明白に違法であるとま では認められないこと、本件各損失補償契約の相手方が本件各損失補償契約が法令上許されな いものであるとの認識を有し又は有し得たことを窺わせる事例は認められないこと、本件各損 失補償契約は市議会の議決を経て適正な手続を経て締結されていることに照らせば、本件各損 失補償契約が私法上無効とはいえず、原告らの主張は理由がない」として、差止め請求を棄却 した。 ちなみにこの判決で市議会の適正手続に基づく議決があったことが、違法性判断の阻却事由に 該らないことはすでに判例上確立しているところであり、川崎市に係る住民訴訟にあっても南 伊豆保養所事件に関し、川崎市側がその旨主張したが横浜地裁はこれを排斥し、原告勝訴の判 決を言い渡していることからも明らかとなっている。 (3) そこで、前記判決との関係でいうとKCTに係る損失補償契約の有効、無効の検討が必要とな るが、それについては、監査請求人は、KCTに関する第四次監査請求を経由した会社整理に係 る住民訴訟で、「KCTの基礎となっている川崎港のコンテナ埠頭自体が、社会の需要に対応し ていない無用の存在で、従って、KCTの存続不可能性は、構造的、不可避的で、会社の設立自 体が間違っている」と主張した(本件監査請求資料・「かわさき港貨物事業を考えるつどい」 資料3頁以下)。 すなわち、赤字必至、倒産必至のKCTは設立自体誤りで、川崎市が50.8%も出資して設立した こと、これに関連して本件損失補償協定書を締結したことは、前記判決に照らしても公共性、 公益性はなく、(地方自治法232条の2)、行政としての裁量を逸脱、濫用したもので一見明白に 違法というほかない。しかもKCTの赤字体質は、後記準備書面で詳述したとおり、川崎市とし ても銀行団としても予見していたもので、その責任は免れえないものとなっている。 この点につき監査請求人は、その要旨を3月16日に意見陳述をしたが、川崎市の弁明をうけて これを明確にするため、前記住民訴訟の準備書面を本書面に添付し、本書面と一体的なもの としてその意見の補充を行うものである。 なお、この準備書面で引用した証拠は、監査委員会としても自主的に収集可能であり、それ を収集の上、精査、検討することを監査請求人として求める次第である。 3 (追記) この再反論ののち、オンブズマンは大牟田市に係る損失補償契約書を入手した。ちなみに、 この損失補償は、潟lイブルランドの融資契約において、同社に連帯保証した各社に対し、 その保証債務につき損失補償を行っているもので、その目的、態様はもちろん、それにとも なって必然的に各条項も川崎市の損失補償契約とは異なるものとなっている(例えば、大牟 田市の契約書では、主たる債務の遅滞を要件としていない)。 いずれにしても、監査請求が棄却された場合の住民訴訟の検討にあたって、前記損失補償契 約はより詳細に分析される必要があり、その分析のなかで本件の展望が開かれるところとな っている。 |
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川口洋一 16年度の包括外部監査結果が阿部市長宛てに大木外部監査人名で提出された。 監査対象は、@川崎市環境局と、環境局の関連業務を行うA財団法人川崎市公園緑地協会、 B財団法人川崎市リサイクル環境公社、C株式会社川崎球場の4つの部局・団体である。 対象選定の理由は、市民生活の利便性の向上ならびに経済の発展と地球環境の保全を両立させ、 持続可能な社会を確立していくことが21世紀の重要な課題となっているが、そのためには環境 保全にかかわる活動を効率的に行い、環境保全に対する費用対効果の向上を目指す必要がある ためである。 監査結果について重要と思われるところを簡単に紹介する。 1.特殊勤務手当と給料の調整額 廃棄物の処理事業の監査結果で、@事務職はゴミ処理作業を日常的に行っているわけではない のに、特殊勤務手当てが支給されていたり、Aボイラーやクレーンを操作する職員にまで、危 険あるいは不快感の伴う労働の対価である給料の調整額が支給されている。 このような支給対象者とは考えられない職種の職員にまで、特殊勤務手当や給料の調整額が支 給されていることは、以前の報告書でも指摘されてきた。今回もまた指摘されたということは、 外部監査の結果に基づいて事務執行の改善が少しも行われていないことを示しているのか、指 摘された部局だけ改善すればよしとしているのかのいずれかであろう。検証する必要を強く感 ずる。 2.随意契約の問題 リサイクル環境公社、公園緑地協会、株式会社川崎球場は、市から随意契約によって委託され たり管理許可を得た業務の大部分を再委託している。随意契約は、その会社や公社にしかでき ない業務であるから行われるのであるのに、これではその意味がまったくない。川崎市が再委 託先に直接委託するなど契約方法を改善すべきであると提言している。 3.天下りの問題 報告書に添えて提出された監査人の意見のなかで、公園緑地協会の人員の構成比率に言及して、 公園緑地部長以下51名中、38人が川崎市OB(嘱託者)で74%と高率であることを指摘している。 その上で、今後この比率を低め、天下り先と批判の対象にならないように配慮すべきであると している。 4.計画の実現性の問題 緑に関する事業の項では、「かわさき緑の30プラン」で一人当たりの公園面積の目標が立てら れたが、その目標に向かってまったく進んでいないことを指摘し、実行できない目標をいつま でも掲げていないで実行できないとわかった時点で速やかに計画を改定すべきであり、その際 には住民ニーズの再調査を行うことで目標値や目標年限の変更をするように提案している。 ちなみに川崎市の一人当たり公園面積は3.59uであり、政令指定都市の中では最小の京都市 (3.34u)に次いで少ない(1999年調べ)。 有意義な指摘・提言がいくつも含まれている外部監査報告書であるが、それらの提言が行政執 行の場に反映されなければ意味がない。それこそ税金の無駄遣いである。これまでの外部監査 報告書も含めて、検証する必要があろう。 |
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★:市長発言「市営地下鉄・武蔵小杉ルートに変更について佐々木玲吉 昨年12月の当会報(第44号)でも取り上げられ、薄々感じてはいたのですが、2月17日開会した 市議会本会議で市長は「市営地下鉄(川崎縦貫高速鉄道)を武蔵小杉ルートに変更し、国交省に 事業再評価を受け、許可を得た上で工事に着工する見通しである」と発言されました。総事業費 6353億円とのことです。 そこで思い出されるのは平成15年6月16日の議会での市長発言です。市民一万人のアンケートを 踏まえてとして「財政状況を勘案して5年程度着工を延期する」というものです。 何故1年8ヶ月後に武蔵小杉ルートに変更し事業再評価を受けるという発言がなされるのでしょ うか? 5年延期であるならば、今は市民に大いに意見を出して貰う段階ではないでしょうか。 財政状況は好転しているのでしょうか。 2月23日の新聞報道によれば一気飲み(一期のみ)のタウンミーティングの発言を翻し、今年 の市長選に出馬の意向を示しています。そこから今回の発言は多分に市長選を意識してのものと 推察されます。 国交省は地下鉄ルートを認可し、事業は早晩着工されるでしょう。そして総事業費は倍位に跳 ね上がり、結局市民はこれから何十年にもわたって重税に悩まされることになるでしょう。****************************************************** ★:市・緑政課長様 茂木 實 Tel(044)911-6548 こんにちは。早速で失礼します。 2月26日の新聞記事で「市民から自然保護レンジャー募集」を読みました。失礼ですが、「この バカ野郎!」と叫びました。だってそうでしょ。 昨04.9.8 市人事委は「民間と均衡」を理由に、市職員給与の初の勧告見送りをしましたね。 しかし、実体はどうでしょうか? 財務省調査では、地方公務員の平均給与が民間のそれと比較して最高で30%、単純平均で約14% の格差ありとして、財務省は地方公務員の給与下げの方針を打ち出しました(04.12.6新聞記事)。 しかも総務省のラ指数調査結果でも、全国の自治体平均97.7に対して川崎市は102.2で2年連続県 内自治体、全国の政令市中トップとのこと(04.12.25同)。 実際にそれを裏付けるかのように、市バス事業経営問題検討会は「バス事業関連の職員の年間 給与が平均約800万円、民間より2割以上高いとして給与水準の早急な引き下げ」を 勧告しました (05.1.19同)。(バス事業関連だけが突出しているわれではないでしょう) ということは、市人事委の勧告が如何にインチキなものであるかを明白に示しており、市人事 委が算定根拠の非公開を隠れ蓑に長年意図的にイカサマをやっていたことが露見したわけです。 即ち、市職員達は多年にわたり市税負担者である市民から収奪して、日本一の給料を懐にして いたわけです(小・零細企業従事者の2倍以上も?)。つまり、市職員は以前の資本家、昔風にいえ ば領主・家来同様に市民の搾取者に成り下がっているのです(しかも日本一の略奪者に)。更に悪 いことに、それでもまだタカリたりないとばかりに、健康保険料の自己負担分の約15ポイントま でも市民に負担させているのです。この野郎! ですから、「市と市民が協働して」と聞こえのよい美辞麗句は、何のことはない「懐の暖かい 搾取者が、搾り取られた市民を無償の奴隷奉仕の酷使をする」の図となります。 この組み合わせに違和感を抱かなかったらバカとしか言いようがありません。 更に我慢がならないのは、高給取りの市職員達がリストラのないことをいいことにして、冗員 を抱えたままノンビリ、ダラダラと日を過ごしていることです。 多摩区役所(他でも同様でしよう)総務課員達はみな時間をもてあましていますよ。水道局の人 間はヒマすぎて時間の経つのが遅いとこぼしています。民間では運転手1人でやっているゴミ収 集車に、運転手以外に2人も乗っておしゃべりのしどおしです。あの2人の実働時間は1日1時間に も満たないでしょう。気楽なものです。 対する民間の実情はどうでしょうか?グローバリズムとやらで、リストラ、競争激化などの労 働環境熾烈化の中で、市民たちは夜遅くまで、というより寝ている間も仕事の効率向上にうなさ れながら、ヘトヘトになるまで必死に働かされています。その上の搾取。 ですから、「市と市民の協働」とは、「毎日楽のし放題の市職員達が、更に楽をしたいとの魂 胆から厳しい仕事の中で疲れきった市民をただ働きの奴隷のように酷使する。」の構図になりま す。こんなことが許されるのですか? 如何ですか。まだ良心の呵責を感じませんか? 当川崎は倒幕・維新もなく江戸時代そのままに領主・家来が欲しいままのタカリ、収奪、略奪 を許される、府中街道沿いの「川崎村」のようですね。(どなたか、むしろ旗を立てて暴動を起こ しませんか。ご協力しますよ。私は軍資金がなくてだめなのが悲しいです。) そんなことはない!21世紀の川崎市だと主張されるのでしたら、なさるべきことはハッキリし ていますよね。 まず第一は、江戸時代の領主・家来の気分を一掃すること。そして市民を奴隷扱いするのをや めること。逆に、真に市民への奉仕者であるとの意識転換をして、自覚すること。それには、大 幅な給与カットの実施です。つまり市民の搾取の削減です。 第二は、毎日ノンビリ、ブラブラの市職員約1万5千人。健康のためばかりでなく実働の埋め 合わせとして交代で休日に里山でボランティア活動をさせるのです。これだけ大勢いれば、市所 有の緑地が如何に広かろうとすぐにきれいになること請け合いです。(現在市民は既にいろいろと ボランティア活動に駆り出されていますが、職員でボランティア活動をしているのはどのくらい なのですか?殆どいないのでしょうね。)万一広すぎて交代要員が必要でしたら、たっぷりと退職 金を手にして優雅に悠々自適の生活を満喫しているOBにご出馬を願ったらいいのです。 (既にリストラされた市民はもとよりのこと、幸いに倒産・合理化による失業にあわない市民で も、これから先満足な退職金を当てにできる方は数少ないのではないでしょうか。市職員は民間 準拠どころか、恵まれすぎていますよ。) 結論は、川崎市を市民が住みよく、ゆっくり休めるところにするのは本来市職員の仕事であっ て、そのために税金を払っているわけですよ。 自ら汗して、市民をゆっくり休ませてあげて下さい!失礼しました。 (了) |