● 警察改革分科会報告(渡辺登代美) ● 公共事業分科会に参加して(佐々木玲吉) ● 談合問題の改革は進む「入札制度改革分科会報告」(篠原義仁) ● 小粋な包括外部監査評価班(清水芳治) ● 大会宣言 |
|
---|
大会は函館の「花びしホテル」を会場に8月28日、29日開催され、参加者は520名と報道された。 「かわさき市民オンブズマン」からは 篠原氏、清水氏、佐々木氏、渡辺氏、奥田氏(自費参加) 江口の6名が参加した。私からは大会全体の報告を行い各分科会については他の参加者から別途 報告される。 第1日は全体会のみであった。地元の歓迎挨拶のあと、分科会の前哨戦として第2日目の分科会 内容のハイライトについて、各分科会の代表者より力強い説明があった。 続く基調講演は評論家の大谷昭宏氏で北海道警察の裏金作りを始めとして、警察腐敗の実態が 如実に語られた。そのあと「警察問題パネルディスカッション」を行った、道警問題を直接指摘 した面々が登場し、道警が組織的に裏金を作る実態を事細かに暴露した。 そのパネリストは大谷氏の他、原田宏二元道警釧路方面本部長、斎藤邦雄元弟子屈署次長、 佐藤北海道新聞裏金取材班記者、地元弁護士の市川守弘氏であり、東京から支援した清水勉弁護 士が司会者をつとめた。原田氏は熱血漢で、当日も発言中に部下の問題を話すうちに感極まり泣 き出すこともあった。勇気ある人々が集結して防御の固い警察問題を白日の下に晒すことが出来 たわけだ。参加者も多く、取材していたマスコミもその努力を大いに評価したと思う。警察問題 で盛り上がったあと、各地報告があり、大会宣言が採択された。 今大会は第1日目で全体会を終了し、第2日は分科会に特化したわけだ、効率化の1方法と思う。 そのあとプログラムにはない、包括外部監査分科会の表彰が行われた。 15年度評価最優秀、新潟市を監査し「オンブズマン大賞受賞」の今井弁護士、および八王子市を 監査し「特別賞受賞」の東田夏記公認会計士が表彰され第1日は終了した。 夜は同じ会場で懇親会が開かれ、ここでも地元の暖かい配慮があり、盛り上がりを見せた。 第2日目は「包括外部監査」「議会改革」「公共事業改革」「談合・入札制度改革」「警察改革」 の分科会が5つに別れ開催され、更に深い説明・討議が行われた。 公共事業改革分科会では「かわさき港コンテナターミナル株式会社」の破産とその後の川崎市 の取り組みの杜撰さについて私より発表した。 分科会終了で大会も終了したが、警察問題を中心に実りある大会であった評価したい。また、 北海道のオンブズマンのご苦労、それを大きく支えた仙台オンブズマンの方々にもお礼を申し上 げたい。 来年は九州別府開催となるが、更なる盛り上がりを期待したい。 |
|
---|
1 1日目の全体会での大谷昭宏氏の講演、原田宏二氏らによるパネルディスカッションに続き、 2日目は、「嘘つきは警察官僚のはじまり。だれが日本の警察を再生させるか!」と題した 分科会が行われた。司会は清水勉弁護士。参加者は100名を超えた。昨日のパネラーである 元道警釧路方面本部長原田宏二氏、元釧路方面弟子屈警察次長齊藤邦雄氏、彼らの代理人で ある市川守弘弁護士、ジャーナリストの大谷昭宏氏も参加してくれた。 2 最初は各地報告。仙台、高知、静岡、福岡と続く。警察裏金110番では2時間電話が鳴り っ放しだったとか、警察現場は書類を隠したり改ざんしたりするのに大忙しだとか。 3 ほぼ飛び入り状態で参加していたのが、群馬県警の裏金作りを告発した大河原宗平氏。 裏金作りの片棒を担がされることに疑問を呈した途端、自宅からは通えない不便なところの 交番に5年間単身赴任させられるという嫌がらせを受け、挙句の果てに、道路交通法違反を きっかけとした公務執行妨害で逮捕・勾留されて、今年2月に懲戒免職。現職の警察官を逮 捕・勾留しておきながら、処分は不起訴。警察内部で行われている裏金作りの手法もものす ごいものがあるが、これが発覚しそうになった場合、内部告発者をつぶす手立てはもっと凄 い。現場の警察官の7割は裏金作りに一切関わらされておらず、全く知らないという。「み んなから信頼される、きれいな警察を作りたい。」この一心で内部告発を決意したという。 休憩時間には、10数名の記者に取り囲まれて、一生懸命状況を訴えていた。 4 その後、都府県監査委員と公安委員会に対するアンケートの結果報告。 監査委員は、警察の経理に関して全面的に監査することができる。警察の組織的不正経理を 糺していくためには、監査委員の活動が重要になる。ところが、警察の組織的不正経理を認 識していると回答したのは、わずかに福岡県と静岡県のみ。宮城県、東京都、香川県、熊本 県、長崎県では不正経理疑惑が表面化し、東京都では東京高裁判決で不正経理の事実が認定 されているのに、監査委員の回答はいずれも「ないと考える」というものだった。ただ、半 分以上の府県が、警察から資料提供や事情聴取を断わられたことがあり、監査委員がいらだ っている面もあるとのことだった。 公安委員会は、警察の民主的管理と政治的中立性の確保を図ることを目的として設置され ている。警察組織内の一部ではなく、住民の代表として警察組織の運用を監視する立場にあ るのだから、多数の回答が寄せられることが期待されていた。ところが積極的に応じたのは、 長野県、鳥取県、山口県、佐賀県、沖縄県の5委員会のみ。なんと北海道4方面を含む46委員 会が回答を拒否した。これでは、まるで公安委員会も警察とグルになって不正経理隠しに加 担しているようではないか。 5 その他、齊藤氏による「裏金の作り方講座」。署長以下署員全員の日程を一覧表にした「動 態表」をベースに、捜査員毎の捜査謝礼支払月日・金額・内容等を一覧表にした「設定書」 とつき合わせながら、カラ出張やカラ報奨費を作り上げていく。相当な集中力が必要な作業 で、一室にこもってやらなければならないそうだ。そこまでの労力を使って、組織的にこん なことをやらなければならない必要性はどこにあったのだろうか。現職からの情報によれば、 各地で裏金作りが発覚し、やりにくくなった昨今は、2001年4月から創設された「捜査用諸 雑費」というのが怪しいそうだ。 6 最後に、高知新聞社の警察担当キャップの話。裏金作りの情報を得たとき、県警の幹部から 「お前に必ず記事を送るようにして、一生困らないようにさせるから、裏金の件は表に出し てくれるな。」と言われたそうだ。彼はちょっと気持ちがぐらついたとか。毎日必死になっ て記事をとってくることを考えれば、わかる気もする。それに、記事にすると今度は逆に警 察からの情報は一切来なくなるだろうから。北海道新聞もそうだけど、彼らのジャーナリス ト魂を讃えたい。 7 行動提起は、まず仙台の小野寺信一弁護士。全国一斉に報奨費の領収書の情報公開請求を行 い、非開示になったら情報公開請求訴訟をやろう。それも、全国統一弁護団を結成し、統一 書証・統一準備書面を作成する。訴訟の中で、監査委員が報奨受給者に当たって調査できる ようにするため、鑑定嘱託の申立てを検討する。少なくとも、全国10〜20の地域でやりたい。 次は、北海道の市川守弘弁護士。内部告発者の保護が大事。まず、大河原さんの支援体制 を整えよう。懲戒免職を争う弁護団を結成し、国家賠償請求訴訟も行い、みんなで具体的な 生活支援をしよう。 最後は原田宏二氏。警察OB等、警察を変えていきたいと考えて内部告発を行っている警 察官同士の横のネットワークを作りたい。オンブズマンと協力して、是非とも警察の再生を 図っていきたい。 8 裏金作りの張本人であった齊藤氏、その裏金をずっともらっていた原田氏、懲戒免職となり 日々の生活に困窮しながらも警察の改革をめざす大河原氏。敢えて警察組織と闘う3人の元 警察官。川崎に市警察がないために私たちがこの問題に直に取り組めないのが本当に残念で ある。 |
|
---|
入札談合は防ぐことができないものか。わが国では公正な入札は不可能なのか等今までは考えて いたものであり、去年迄は談合分科会で各地の闘い振りを勉強させてもらってきました。各地のオ ンブズマン諸氏の奮闘の甲斐あってか、落札率は下がり始め、宮城、長野両県ではその兆候は現れ てきました。しかし全国的には未だしの感は否めません。 ところで入札を行う公共工事、事業の是非を問うことは、談合防止より以前に重要なことではな いでしょうか。不必要と思われる事業に公共、公益の名を付して、何千億円、何兆円もの税金が注 ぎ込まれる。そして環境破壊も進行する。諫早湾干拓事業、福井釣堀港湾、川崎・木更津間アクア ライン、第二東名高速道路、各地の無駄なダム建設、そしてKCT、FAZ等々。 あるいはこれらはケインズの云う景気浮揚効果を狙ったものかも知れませんが、国と自治体の借 金はついに1000兆円にも達しています。手をこまねいている場合ではありません。このような思い を抱いて今年は全国大会に参加したものであり、分科会は公共事業分科会に参加したものでありま す。 まず、初日28日全体会議で大川代表幹事より「ムダな公共事業をストップさせたいと望む住民の 声に抵抗する論理の一つは『事業を中止したら、これまで受け取った補助金を国に返さなければな らない。それよりは、続行した方が傷は浅い』というものだ。田中長野県知事が02年に脱ダム宣言 を発したのに対して県議会多数派の掲げた反対理由はまさにそれだった。しかし、このような反対 論は全く根拠がない。政府が打ち出した『国と地方に係る経済財政運営と構造改革に関する基本方 針』(02.12.4閣議報告)は『行政機関が行う政策の評価に関する法律・・(略称政策再評価法)』 に基づいた適正な手続きを経て実施された公共事業再評価の結果、事業主体である地方公共団体が 補助事業を中断した場合には、補助金適正化法上の義務違反がない限り補助金の返還を求めること がない」(大会報告第2分冊)とされ、各地で事業の中止、休止が出始めている事実の報告があり ました。 次に29日の公共事業分科会(参加者約80人)では各地より次の報告がありました。 岩手県 過大な水需給計画に基づく簗川ダム建設負担金差し止め請求訴訟について 市民オンブ ズマン岩手 井上博夫氏 北海道 恵山町「風力発電事業」の破綻と現在の状況 道南市民オンブズマン 宮城県 仙台市地下鉄東西線公金差止訴訟の現在と今後について 仙台市民オンブズマン 千葉 晃平氏 茨城県 霞ヶ浦導水事業の見直しを求める取り組み 市民オンブズマン茨城 神奈川県 かわさき港コンテナターミナル鰍ツいに破産 かわさき市民オンブズマン江口武正氏 佐賀県 諫早湾干拓工事中止命令を得るに至る経緯について 担当弁護士 富永孝太朗氏 長野県 福祉、環境から見た公共事業。県政改革、三重県と長野県との比較 元三重県オンブズ マン代表・現長野県経理局長 松葉謙三氏 氏は長野県職員になった今、在野の三重県時代とは異なり、政官財の癒着、そして霞ヶ関支配と の闘いがいかに厳しいものなのかを報告された。 しかし田中知事を先頭にしての無駄な公共工事を中止させる運動によって03年中下記の実績を上 げることができたとされた。 東京都 3厄揃い踏みの八ツ場ダム建設阻止に向けて 東京市民オンブズマン代表・八ツ場ダム 弁護団事務局 高橋利明氏 氏は今から50数年前に計画された八ツ場ダムが今ではいかに不必要なものか、無駄なものになり つつあるか逐一解説され、9月10日、1都5県で監査請求を提出し、年内提訴方針との説明をされま した。 以上公共事業分科会の概要ですが、司会者に突然指名され、レジュメの用意もなく演壇で話をさ せられた方もおられましたのでお名前、役職等聞き漏らした場合もあります。読み辛い点ご容赦願 います。 尚今大会では警察のウラ金作りの告発が大きなテーマになっていましたが、28日の全体会議での 元道警釧路方面本部長原田宏二氏、弟子屈署次長斉藤邦雄氏の涙ながらのその手口の公開、そして 告発に至る経緯は圧巻でした。ジャーナリスト大谷昭宏氏による講演「役人はシロアリだ、風呂桶 の底がシロアリに喰われていたら、いくら水を入れても水は溜まらない」そして裏金追及の市川弁 護士、渡辺弁護士に対する道警側の懲戒請求と云う頓珍漢な話も報告されました。 以上北海道と云う遠方の地に全国より500名程の人が集い、互いの経験を語り合い、学びあい、 新たなファイトを胸にしたものです。来年は大分県、別府と云うことも聞いています。川崎からも 多くの方が参加されることを望みます。 |
|
---|
1 略称「談合問題」分科会は (1)住民訴訟の成果、到達点、ハードルなどについて各地の経験を交流する。 (2)談合のできない(しにくい)入札制度の構築にむけて、また談合の責任追及などの面で、自 治体の姿勢がどう変わりつつあるのか(「抵抗勢力」がどのように頑張っているのか)、各 地の情勢報告を交換する。 (3)新潟ゼネコン談合を、全国的問題としてどのように取り上げてゆくか、意見を交換する。と いう課題を設定して分科会運営がはかられた。 基調報告は、全国の代表幹事でもあり、「かながわ」の代表幹事でもある大川隆司弁護士が つとめ、行きがかり上、私が司会担当となって進められた。 2 大川報告は、さすがにこの道の第一人者ということで、住民訴訟の総合的分析、談合問題の改 革へ向けての提言、改革の到達点と今後の課題、大手ゼネコン等の「反撃」の状況、政界建設 族の巻き返しの実態など、多角的な検討と豊富な分析資料に基づき、有益、かつ、実践的に行 われた。 それは、きわめて示唆に富む基調講演であり、当日の大会資料集を購入するか、もしくは抜 き刷りでもいいので、まずもって、その一読をお勧めしたい。 当日の討議について、少し各論的に分科会報告を行うと以下のとおりである。 第一に、川崎でも取り組んだ上・下水道メーター談合住民訴訟(但し、オンブズマン結成以前 なので、原告団は市民団体有志で、その後、事実上かわさき市民オンブズマンが裁判を承継)に ついていうと、回収損害額に若干の多少はあるものの、全て住民側が勝利のうちに和解解決し、 その損害金が「何も闘わない」県・市等の行政の財産として返還されるところとなった(自治体 へ返還された損害額は、全国総計で約7億円に達する)。 この事件の成果は、単に住民側が勝訴し、自治体に損害金を填補させたということに止まらず。 「1年経過すると違法な公金支出があっても監査請求ができない」という、いわゆる「1年ルール」 を最高裁判決(2002年7月から9月にかけての3つの小法廷判決)で突破し、「談合に時効なし」の 原則を確立させたことである。 これによって、住民側の談合追及の権利は大きく前進し、談合監視の実を大きくあげるための 将来の闘いを保証するところとなった(この外、群馬県土木工事談合で勝利的和解が成立したこ と、大阪地裁で「見張り番」が高校体育館増築工事贈収賄事件で、これに関連して住民訴訟を提 起し、勝訴したことが各論的に報告された)。 第二に、「1年ルール」の突破により、今まで全く動こうとしなかった自治体が、ようやく重 い腰をあげるようになったという、萌芽的な前進が報告された。02年の東京都大型造園工事談合、 03年の国立病院寝具リース談合の各事件の例が、それである。 ちなみに横浜市は、公取委が東京都発注の水道メーター談合を摘発(03年7月。我々の住民訴訟 継続中の2回目の摘発)したのを契機に、独自の調査委員会を立ちあげ、04年4月28日、委員会と して談合の事実を認定した(9月議会の議決を経て、水道メーター大手4社に対し、損害賠償請求 予定)。 オンブズマンの動きに呼応して、自治体が自浄能力を発揮する萌芽的対応が出つつある。 他方、それにつけても我々の再三の談合問題の申入にもかかわらず、その動きをとろうとしない 川崎市は、全くだらしないといわざるをえない。我々の川崎市に対する追及をさらに強める必要 性を実感した。 3 入札・契約制度の改革の現状は、どうなのか、分科会の議論は進んだ。 03年度の各自治体の平均落札率と落札率の分布状況が、集計され発表された。 その結果、@一般競争入札の適用範囲はもっと広げられなければならないこと、A違約金条項 は各地でひととおり整備され前進したこと、B汚職等の「不祥事」を契機に横浜市、新潟市の例 のように入札・契約制度の改革が進んだ事例が出はじめていること、などが確認された。 ちなみに、談合がないであろうと推測される落札率80%台前半(もしくは、それ以下)での入 札を実現した地域にあっては、入札予定価格の事前公表(汚職防止とも関連)、電子入札制の導 入を前提に一定金額以上(例えば横浜市では2,500万円以上)の工事については一般競争入札とす る(つまり、指名競争入札の廃止)、最低制限価格も(段階的に)廃止する、などの施策をとり つつ、かつ、その上で入札業者の「行政区要件」(地域要件)の廃止(「市内業者優先」に広げ る)を行っていることが特徴的である。 川崎市にあっては、本年1月に「川崎市入札・契約制度改革検討委員会」の提言が公表されたが (「抵抗勢力」相手に奥田委員がめざましい奮闘をしたことは記憶に新しい、しかし、それでも 「地域要件」の撤廃等にまで踏み込んでいない)、その内容を分析すると(横浜市の例と比較検 討してみても)不十分のそしりを免れない。 この点においても、我々オンブズマンの川崎市申入の内容が早期に実現される必要がある。な お、「地域要件」の廃止については、地元の中小業者への配慮、調整の問題が意見として提起さ れ、一定の解明が行われたが、より深い解明を宿題として残した。 4 最後に、新潟市発注の大手ゼネコンを含む建築業者133社に対する公取委の排除勧告(04年7月 28日)に関し、オンブズマンとして全国的にどう取り組むかが問題提起された。談合対象は99年 4月から03年9月までの4年半で、下水道管渠布設工事と建築工事368件、契約金額総額は604億と いうものである。 埼玉土曜会談合(92年)、東京三多摩地区談合(01年)に次いで、大手ゼネコンに対する3度目 の談合摘発となっている。 何が重要か。中小相手の談合追及でなく、これは正に本丸の大手ゼネコン相手の談合であり、 談合解決の本質に迫るもので、全国的に取り組む意義は大きい。分科会の議論は、地元新潟の報 告を受けつつ、新潟のオンブズマンの活動に呼応して全国でも動こうと総論的にまとめられて終 了した。 この外、独占禁止法の改正案(課徴金6%から20%への引き上げ等々)の国会上提を阻止した日 本経団連の動き、建設業界が自民党の建設族(「公共工事品質確保と向上に関する議員連盟」古 賀誠会長)に働きかけて、巻き返しを図っている事実が報告された。 「巻き返し」許さず、さらに談合追及の力を強めることを確認して分科会は終了した。 |
|
---|
道警裏金問題は江口さんの報告の通り圧巻だったが、ちょっと皆をびっくりさせたのが、包括外 部監査評価班(以下、評価班)が優れた外部監査人を表彰したことだろう。アイディア出しただろ うと思われる大阪の井上善雄弁護士が挨拶でいうように、これまであまり(?)人を褒めたことの ないオンブズマンが大会初日、表彰台にご当人を招いて昨年度新潟市を監査した今井 誠弁護士チ ームにオンブズマン大賞を与えて表彰した他、2000年から3年続けて優れた監査を行った八王子市 の東田夏記公認会計士チームに特別賞を贈ったことである。私などへーと感嘆したところである。 それらは例年のように発行されたイエローブック(『2003年度 包括外部監査の通信簿―包括外 部監査の活用のために』)や特に今回その力作振りを顕彰して作成された『包括外部監査分科会資 料 新潟市監査結果報告書』(新潟市公報2004年4月15日号抜き刷り)でご覧頂きたいが、今年度 から従来のA、B、C、などのランク付けをやめて優秀賞、活用賞、改善要望にグループ分けしたこ とが注目される。その優秀賞の中で特に優れたものとして大賞が与えられたのが新潟市である。 なお、今回川崎市は大木壮一公認会計士チームが教育委員会を対象に監査を行い優秀と評価されて いるが、このことについては後ほど触れたい。 二日目の分科会。 表彰された今井 誠氏、東田夏記氏、栃木の秋元照夫税理士、井上善雄氏、東京の土橋 實弁護 士をパネリストに、福岡の赤塚和俊公認会計士がコーディネイトして分科会がはじまった。 まず、赤塚氏が包括外部監査人の使命感と報告書を読む一般市民の期待との間に大きなギャップ があるのではないか、監査人の中にははっきり市民に向けてやっているのではないと公言する人も いるとの問題提起から始まり、誰のために如何に書くかを含め、今井氏の始めての経験での戸惑い、 弁護士の専門領域との落差など、それぞれ率直な発言があり、外部監査を依頼する自治体の対応も 通り一遍聞き置くだけがあるなど、さまざまな事例が語られた。 総括的には、評価班が評価を始めた時点では自分たちも未経験のことであり、不十分な箇所もあ ったが、年々公認会計士協会や弁護士会との意見交換を重ねたり、自治体との打ち合わせなど通じ て評価班の方針も定まり、今ではイエローブックを監査の参考書とするために求める外部監査人も あり、オンブズマンの目的が果たされつつあること、こうした評価の高まりがオンブズマンの存在 自体の社会的認知に寄与していることを感じ取れた。ただ地方自治体がそれなりに多額の報酬を支 払ってやってもらっている監査なのだから、もっと多くの人々が監査報告書を読むこと、そしてイ エローブックを活用することといわれた辺りは毎度の事ながら耳の痛いところである。 さて、優秀賞だった川崎の例だが、イエローブック92ページに「監査に対する評価」があり、 「現状分析は丁寧に行っており、監査人の視点から明確な意見を述べている。教育委員会や学校の 持つ問題点は、よく指摘されている」が「関連財団に派遣された職員の問題について、適法性の監 査がなされていないのは問題である」とされる。 その全文は省略して私見を述べれば、学校の統廃合に関して40人学級をベースに費用計算をしてい るが、現今の教育理論の到達点からすれば、30人あるいは25人学級での試算がない場合は、監査人 の努力は市の教育政策をミスリードしかねない危険性を孕むのではなかろうか。 |
|
---|
1.警察の透明度と公正さをたかめよう 昨年11月にここ北海道で発覚した北海道警察旭川中央署の捜査用報償費不正支出事件は、 警視庁赤坂署事件など、これまで日本各地で明らかになった警察の不正支出と全く同一の手 法であった。 以降、全国各地で酷似した手法の不正経理が続々と明るみに出たことによって、不正支出は 警視庁と北海道警察だけの問題でないことが誰の目にも明らかになった。ところが、これに 対して警察がとった対応は、不正経理の真相の究明とは正反対の"犯罪の隠蔽"であった。 不正経理のやり方が全国共通なら、発覚後の県警本部長の言葉、対処法まで全国共通、すべ てがマニュアル化されているとしか言いようがない。 このような警察にはもはや自力"更生"を期待することはできない。私たち市民の手で変えて ゆくしかない。そのための第一歩として、警察情報の非公開処分に対する取り消し訴訟を全国 で提起するとともに、警察の監査を厳しくするよう監査委員への働きかけをする、都道府県警 察を管理する公安委員会への働きかけを始める、といったさまざまな取り組みをはじめること をここに宣言する。互いに成果を交換し合い、警察の透明度と公正度を高めよう。 2.ムダな公共事業をやめさせる取組みを強化しよう 地方自治体が主体となって推進する公共事業の規模は年間25兆円に及ぶ。このほかに国の 直轄事業に対しても、地方自治体は巨額の負担金を支出している。 私たちは、今大会で、各自治体に設置されている公共事業再評価委員会が、実質的に機能し ているか否か、という調査を初めて行なった。 しかし調査の結果、03年度において再評価委員会が実質的に機能したのは、都道府県では 長野県のみ、政令市では広島市だけであった。長野県以外にも17府県、また広島市以外にも 3政令市が、それぞれごく一部の事業の中止を決めたが、中止事業の事業費総額は2700億 円程度で、長野県と広島市が中止を決めた事業の事業費合計5400億円の半分にすぎない。 しかも他の29都府県、9政令市は、03年度において1件も中止を決めていない。 私達は、長野県や広島市の取組みを全国に広げることを追求するとともに、これまでの各地 のオンブズマンの経験を活用して、ムダな公共事業を差止める住民訴訟への全国的支援を、今 大会を期に強化することを宣言する。 その第一弾として、首都圏1都5県の住民とオンブズマンによる、八ッ場(ヤンバ)ダムへ の負担金支出の差止めを求める一斉住民監査請求および住民訴訟を全面的に支援する。 3.談合をやめさせる取組みを強化しよう ムダな公共事業が反省もなく継続される背景には、入札談合とそれを支える利権の闇が広が っている。 私たちの調査でも、「一般競争入札の大幅導入」と、「地域要件の撤廃もしくは緩和」とい う正攻法で談合防止に踏み切っている自治体は、まだまだ極めて少ない。 しかし、宮城県、 長野県につづき、入札制度改革に踏み切った新潟市や横浜市では、平均落札率が約80%まで 落ちているという事実が示すように、談合を放置することによって自治体が蒙る損害は巨大で ある。 私たちはこれまでの経験を生かし、新潟市で明らかになった下水道管渠布設工事の談合につ いて、全国的な入札調書の分析などの方法で、大手ゼネコンの談合事実を解明することを含め て、談合の責任を追及し、談合しにくい入札制度を確立させる取組みを強化することを宣言す る。 2004年8月28日 第11回全国市民オンブズマン函館大会 参加者 一同 |