かわさき市民オンブズマン会報28号

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***もくじ***

● 主張:市議会は南伊豆疑惑を解明せよ (事務局長:清水芳治)
● 南伊豆保養所用地訴訟阿部市政はどう対処するのか (篠原義仁)
● 全国市民オンブズマン連絡会議拡大幹事会の報告 (江口武正)
● 議員海外視察旅行廃止要求 (望月文雄)
● 「十字路」
  ★:軍隊を捨てた国、コスタリカに学ぶ (多摩区:塚本)
  ★:最近の世相より (佐々木玲吉)
  ★:佐藤貞男格言新集ー10 (佐藤貞男)
● 会計報告

主張 南伊豆疑惑を解明せよ
(清水芳治)
 信じられないことが起こるものだ。
 3月22日、川崎市議会はわれわれが市議会議長、市議団各会派に要請した南伊豆 町市民利用施設事業用地取得に係る疑惑解明のための100条委員会設置をあっさ り否決して閉会した。市議会は自分の責任を平然と放棄したのである。

 市議会ではそれ以前の3月2日、日本共産党の竹間議員の代表質問に対し、市長 は「用地取得につきましては、経過を調査し、裁判の中で、事務手続の正当性を 主張してまいりました。その事務手続に、法的なあやまりは、ないものと考えて おります。
 判決の例示事項につきましても、鑑定評価にあたっての本市の対応及び、その事 務手続に不当性はないものと考えております。」と答えている。

 川崎市土地開発公社が取得した価格に金利及び事務費を上乗せして買い戻すこと は、裁量権の濫用であり、違法不当であると一審二審とも判示し、市は反論する 理由を見出せず、上告を断念したのではなかったのか。
土地開発公社は市の業務を代行している。不当な高値で買い取らせたのは川崎市 ではないのか。市の言い分だけを聞いていると、丸で司法が不当な言いがかりを つけているかに思えてくる。

 だが、われわれが100条委員会を、と要請したのは、こうした市長答弁があるか らだけではなく、行政への信頼性の確立と、市議会の権威が問われているとわれ われは考えているからでもあるのだ。
1998年1月14日の市長に対するわれわれの公開質問状への市長回答で、この土地 は「前地権者から直接売り込みを受けたものです」と虚偽の回答をし、さらに同 年2月18日のまちづくり委員会では市職員が委員の質問に「仲介者はいない」と 答弁して、委員会を欺いている。この仲介者は情報公開請求では個人情報として 墨塗りされ、やっと一審の審理の中で明らかにされたのだった。仲介者が存在し ていたのである。

 こうした事実を捻じ曲げた虚偽の答弁をされたままでも、議会で違法不当を「不 当性はない」と回答されたままでも、川崎市議会の議員の皆さんは議会の権威を 保持できると考えているのだろうか。こうした事実を看過しているとしたら議員 に与えられている市政調査権は何処で発動するのだろうか。
 近々の入江町の土地の処分にみられるように、高く買って安く売る、商売道を無 視した川崎市の土地行政を繰り返させないためにも、判決の確定した南伊豆の疑 惑は徹底的に明らかにしておくべきであったと強調しておく。


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南伊豆保養所用地訴訟
阿部市政はどう対処するのか
(篠原義仁)
 

  1) 2月6日,東京高等裁判所第1民事部(裁判長江見弘武,裁判官岩田眞, 裁判官原啓一郎)は,かわさき市民オンブズマンが川崎市を相手に提起した, 南伊豆保養所用地買受差止住民訴訟控訴事件で,一審判決を全面的に支持して, 再び差止容認の判決を言渡しました。
 この裁判は,1996年10月,すでに3つの保養所があるのに,第4の保 養所用地として,川崎市が土地開発公社に対し静岡県南伊豆町の土地を約6億 1,700万円で先行取得させたこと(買い戻し期限,2000年3月)につ いて,それは「不要不急の土地で,しかも,価格も不当に高い」ので買い戻し てはならないとして,98年2月25日に住民監査請求を行い,それが4月 24日に棄却されたため,裁判(住民訴訟)移行したものです。

 横浜地方裁判所第1民事部(裁判長岡光民雄,裁判官窪木稔,裁判官家原尚秀) は2001年5月16日,オンブズマンの言い分を全面的に認めて原告勝訴の 判決を言渡しました。一審判決は,地方自治法の解釈を正当に行い,その上で, 手堅い論理と事実認定で被告川崎市の反論をひとつひとつつぶし,詳細な判決 理由を展開しました。従って,川崎市としては控訴理由が見出し難く,控訴す ること自体無謀だったわけですが,不当にも控訴手続きを強行しました。

2) 高裁判決は,手堅い一審判決を基調においてその補充的理由付けをし, 川崎市の控訴理由を斥けました。すなわち,高裁判決も「必要の乏しい土地を」 「適正価格より著しく高額な対価で取得する」ことは違法と断じ,「議会議決 があっても」違法性は阻却しないとし,一審判決同様にオンブズマン勝訴を言渡 しました。なお,川崎市は,一審最終盤で悪あがきをし,鑑定士兼弁護士である 澤野順彦氏の鑑定書を提出し,二審ではその澤野氏を代理人に立て防戦を試みま したが,まさに「税金のムダ遣い」の結果となりました。

3) 川崎市が上告を断念した結果,高裁判決は確定しました。私達は真相究明 と再発防止を求めて川崎市による独自的対処と市議会での百条委員会の設置を 要求して要請行動を行いました。
 しかし今のところ川崎市の動きはなく,他方,川崎市議会もまたまた百条委 員会の設置を否決しました(設置賛成は共産党と一部無所属議員のみ)。
 判決が出た現在,たとえ「適正価格」でも,不要不急な土地を川崎市が買い 戻すことは困難でしょう。すると土地開発公社が今すぐ,あるいは一定期間塩 漬け土地として抱え込み,そののち売却するのか。その際,当然「損害」が発 生するわけで,その損害の負担をだれがするのか。オンブズマンとして,今後 も注視してゆくべき課題は残されています。 
  解決までひきつづき監視の目を強めていく必要があります。

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全国市民オンブズマン連絡会議 拡大幹事会の報告
(江口武正)
 

3月24日(日)に名古屋の愛知県産業貿易館で開催された拡大幹事会に久しぶり に出席した。会議は9月14、15日に宇都宮で開催される全国大会の打合せを中心 に行われた。
内容を無味乾燥であるが下記に記載する。

1)全国大会関係
今年の全国大会の「メインテーマ」は総合研究「監査請求」(監査請求を市民の 手に)に決定した。自動車免許更新の際、警察署から「交通の教則」という小冊 子が支給される。
同一の冊子が各県宛に一括提供されているに係らず、その料金報告が県により異 なることが判明しており、全国で6月に一斉監査請求し、金額の差異理由等を明 確にする。県警の杜撰さを明確らかにするとともに、監査請求ランキングを作成 し、制度の問題点も指摘する。その運営詳細は「チーム」(新海、赤塚、高橋、 谷合)でさらに検討することが決まった。
なお、我々「かわさき市民オンブズマン」に関しては、川崎市には組織として警 察がないため、この一斉請求には参加出来ない。

2)分科会
分科会は会場の関係で5つの開催となるが、公共事業、談合対策、包括外部監 査、情報公開法、監査請求入門の5つが候補としてあがった。今後、その他の候 補の出方をみて最終決定する。ほぼ開催が決まっている、3分科会候補の補足説 明があった。

  • 談合
    「談合事件に関する監査請求の申立期間について」の一覧表の説明が大川代表か らあった。6/3 10:30最高裁第二小法廷で静岡の事件の弁論がある、最高裁で の弁論は画期的なことであり、多数の傍聴の依頼があった。
  • 包括外部監査
    新外部監査人の名前を確認すること、新監査人に対しテーマにつき申入れする。 各オンブズマンが個別要求書と全国統一要求書を直接外部監査人に提出する。
  • 公共事業
    4/15までにアンケートを各地のオンブズマンに送る。5/1に市民センターで打合 せを行う。

3)司法制度改革推進本部での意見陳述
 司法制度改革推進本部での意見陳述を4/8に内閣府で連絡会議として行う機会 を与えられており、辻代表を代表とするチームで対処する。納税者訴訟(住民訴 訟の国家版)の新設、弁護士費用敗訴者負担反対等を主張する。住民訴訟の有効 性を示すため「住民訴訟の新聞記事一覧」を4/1までに資料として提供する。

4)その他

  • 情報公開市民センターより「内部告発者保護法」制定に関する報告があり、制 定運動に全国市民オンブズマンとして係ることが承認された。
  • 人事では3年間代表幹事を務められた福岡の赤塚さんが退任し、後任は大分の 永井さんが就任することが了承された。また2年間事務局スタッフであった内田 さんは都合で退職する。
  • 会計報告が承認されたが、繰越金で遣り繰りしており、単年度では大幅赤字で ある。
対策について今後検討する。
                                      以上

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議員海外視察旅行廃止要求
(望月 文雄)

 私たち日本人は税の使われ方に関して、欧米人よりも格段に甘い感覚しか持ち合 わせていないようだ。鈴木宗男衆議院議員の外務省への、望外の関与は外務省管轄 のODN予算の杜撰な管理運営に付け込んだものと断じてよいと思う。

 議員は国、地方を問わず、税金をいかに有効に使うか、という技能を持つ人とい う判断から選良とされたのではなかろうか。しかし、それが、選挙権を行使する側 の甘さであって、選ばれた人たちの独善的な慣習を見過ごしにすることが、往々に 生じるようだ。先年の政務調査費の使用内容開示要求はごく一部の議員・会派を除 いて、領収書開示を拒否した。月額45万円もの大金である。

 今回、私は議員たちが行った海外視察旅行が議案・請願・陳情にどのように反映 されているのかという観点で、平成7年から平成13年の市議会定例・臨時議会議案、 請願、陳情、意見、さらに、定例会等の会議結果も、平成11年度から13年度までを 調べた。調査の元になる視察議員団は平成7年度から平成12年度まで、視察内容は 平成9,10、12年度のものを資料公開で求めてもちいた。

 平成7年度海外視察議員団は14名、8年度は11名、9年度は14名、10年度は8名、 12年度は16名である。17期に続いて18期の視察旅行参加者が11名いた。これは連続 して当選した議員であろう。

 視察内容は、教育関係として、学童保育(放課後の家)オスロ〈H9〉、総合施設 グリビー園・ストックホルム〈H9〉、プラハ市教育局〈H10〉。市議会、オスロ 〈H9〉、ベルリン市庁舎・市議会〈H10〉、ザルツブルグ市〈H10〉、ブリュッセ ル市〈H10〉。市内視察、ストックホルム〈H9〉、ベルリン市再開発地域〈H10〉。 福祉関係、補助器具センター、ストックホルム〈H9〉、老人24時間ホームケアー、 ホームヘルパー制度、緊急アラームシステム、特別老人福祉施設、高齢者専用ル ハビリセンター・コペンハーゲン〈H9〉、プラハ老人医療施設、ウイーン高齢者 用集団住宅〈H10〉。コペンハーゲン保険管理局、フランクフルト高齢者擁護 ホーム〈H12〉。女性施策、スエーデン文化平等部門局〈H9〉。環境関係、 紙・プラスティックリサイクル市水質浄化公社・ヘルシンキ〈H9〉、ベルリン 連邦環境庁〈H10〉、オランダ都市計画情報センター・アムステルダム、ハイ デルベルグ市コンポスト工場、ベルリンKEG産業廃棄物処理工場〈H12〉。経済、 国家資産管理庁、地場産業施設・プラハ〈H10〉、ニースコートダジュール商 工会議所・カンヌ、ユーロ金融制度〈H12〉。

まちづくり、河川緑地利用実態・ブダペスト〈H10〉、ベルリン再開発地域、 ポッダム広場、旧帝国国会議事堂・ベルリン〈H12〉。農業、有機農業実践農 家、市民農園管理・運営・アムステルダム〈H10〉。

 催行期日、H9=5・15〜5.25…11日間。H10=4・20〜5・1… 12日間、H12=10・28〜11・6…10日間。

 催行費用、平成9年度 1351万3970円。平成10年度 788万 7920円。平成12年度 1259万3350円。(平成11年度は催行せず。)

 議会会議録。平成7年、議案1号乃至173号、議員提出議案1,2号、 請願1乃至39号、意見1号乃至17号。

 平成8年、議案1号乃至150号、請願1号乃至103号、報告1号乃至20号。 (請願にリスト付き低床バス導入、分別収集複数あり)。

 平成9年、議案1号乃至166号、議員提出議案1乃至3号、(縦貫道に関する もの)。請願1号乃至118号、意見書案1号乃至30号。

 平成10年度、議案1号乃至143号、議員提出議案1号乃至5号(5号、公共 用地取得処分及び利用対策特別委員会設置について)。請願1号乃至168号、 報告1号乃至18号、意見1号乃至22号(外国人学校助成金、介護保険、ひとり 親家庭等医療費助成事業等)。

 平成11年度、議案1号乃至170号、議員提案1号(縦貫道に関するもの)、 請願1号乃至35号、意見1号乃至24号(民間社会福祉事業振興費等)、報告 1号乃至18号。 

 平成12年度、議案1号乃至191号、議員提出議案1号乃至5号(縦貫道 要介護・高齢者住宅改造費助成等)、報告1号乃至18号、請願1号乃至76号、 意見書案1号乃至18号(私学助成、私立幼稚園公費助成等)。

 平成13年度、議案1号乃至133号、議員提出議案1号乃至3号(政務調査 費・資産公開に関する条例等)。報告1号乃至20号、請願1号乃至106号(施 設統合、用水堀改修、病院機能・役割の維持・存続等)。意見1号乃至14号。

 川崎市のホームページから資料をプリントアウトして、海外視察効果の有無を 調べたが、私の力では探索できなかった。
これは私が門外漢だからというのではなく、視察そのものが、即効性を要求する ものでない所以であろう。たとえば、外国人市民代表者会議設立には独自の調査 研究委員会を組織し年余に渉る会議、国外、国内の調査を経て、テスト会議を行い、 実効性を確認して発足させたのである。

議員の海外視察にはそのような実質を伴う報告書は要求されていない。
バブル期に物見遊山を兼ねての視察旅行が慣習として残存しているに過ぎない。

視察旅行は改選直後に、各派代表の会議で4年間での振り分けがなされ、主要訪 問国が内定される。18期には1・2.3次までまず人数が決められ、4次が次 年度以降に持ち越された。予算の執行は回議書という伺い書が事務局から発行さ れ、議会事務局長の専決を経て、実行に入り、視察旅行実行後、経費支払いの回 議書が市長決済で旅行会社に代金が支払われる仕組みで、視察旅行は年次定例・ 臨時市議会の議案にはならないのだ。政務費の明細開示を拒み、視察旅行の具体 的な成果を議会で発揮できず、納税者に効果を説明できない旅行は公費の無駄使 いと判断してよいだろう。私は廃止を要求する。
    2002年3月28日    望月 文雄 


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★☆★ 十字路 ★☆★
≪軍隊を捨てた国、コスタリカに学ぶ≫

多摩区 塚本
 2月上旬、多摩川を挟んだ隣、狛江市で作家の早乙女勝元さんの1945年3月10日東京 大空襲の模様と、悲惨な被害の体験談を聞く機会がありました。
 その会場で早乙女さん父娘が製作したドキュメンタリー映画「軍隊を捨てた国コス タリカ」のリーフレットとチケットを手にしました。3月中旬、私は地下鉄利用で久し 振り、六本木の街に降り立つ。上映場の俳優座劇場は直ぐ目の前です。この劇場も懐 かしく、当時地下鉄もなかったが、千田是也ものを観るのに通った昔を思い出しまし た。
 中南米の小国「コスタリカ」は軍隊を持たず永世中立を宣言し、自国のみならず隣 国のニカラグアやエルサルバドルの内戦を中止させる外交を展開し、それを実現させ た功績で1987年、時のアリアス大統領がノーベル平和賞を受賞した、ユニークな国で あることを知っていました。この記録映画や、ラテンアメリカ地域を現役記者として 取材された、ジャーナリスト伊藤千尋さんから聞いた話を下敷きに拙いながら同国を 紹介いたします。

面積:約5万1千平方q(神奈川県の約20倍)
人口:約350万人(横浜市ぐらい)―言語はスペイン語
位置:東、カリブ海。西、太平洋。(亜熱帯、低地は熱帯、内陸は台地で温暖)
産業:農業及び、昆虫、爬虫類、植物のどの観光資源
国防:国家警備隊7500人、装甲車2両、セスナ機4機、沿岸警備艇7隻。米州機構 (国連憲章の規定に基づく、アメリカとラテンアメリカ諸国加盟の地域的協力機構) に加盟。但し、軍隊がないから兵力は出せない、その他の手段で協力する。
国づくり:非武装教育立国をめざし40年以上、国家予算の3分の1を教育費に充て、 兵隊の数だけ教師を育てることをモットーに、今ラテンアメリカで群を抜いて識字 率の高さを誇る。
以上、プロフィルを述べました。

以下、ドキュメンタリー映画の感想を含めて申し上げます。
 先ず、映画で観て自然が豊かです。今、世界で自然の破壊が進み、絶滅や希少た なった生物や植物がコスタリカでは手厚い保護のもと数多く生息し、小動物、昆虫、 爬虫類、野鳥、植物などの研究者やマニアが、世界中から観光客として来ているの です。工業らしきものはなく、ただバイオの研究所らしいものは写っていました。 燦然とした太陽に人びとは明るく輝いています。マイクのインタビューには、どの 市民も軍隊は必要なく、それを誇りと答えているのです。
 豊かとは言えないが、安定した社会のコスタリカに、近隣諸国から出稼ぎや不法 入国などありますが、憲法31条で、コスタリカの領土は政治的理由で迫害を受けて いる、総ての人の避難所である、と規定している国柄だけに、不法入国も余りうる さくないようです。

 かつて、米ソの代理戦一色となっていた中米紛争盛んな当時、隣国のニカラグア 軍が越境する事件などがあり、米レーガン政権はこれを機に飛行場建設など膨大な 援助をコスタリカに申入れ、援助と脅しを交えつつ米国の傘下に入るよう迫った。 対外債務を抱えた身で喉から手がでるように援助が欲しかったコスタリカだが、執 拗な誘いを振りきり、あえて独自の道を歩むことを宣言したのです。

 今、9:11テロの惨事とその報復の空爆の悲惨さはこの世のものとは思われず、 心ある世界の人びとの懸念となっている状況のなかで、小泉内閣では米国ブッシュ 政権ベッタリ外交のやれテロ対策特措法だ、備えあれば憂いなしと、戦争を想定し た有事法制だと声高にわめいているが、同じ戦争放棄の平和憲法を持ちながらコス タリカのそれとの比較において余りの落差に深く考えさせられました。

 終わりにノーベル平和賞を受賞したアリアス大統領のプロフィルを記します。
1944年生まれ(58歳)。1986年、大統領就任。1987年、ノーベル平和賞。
祖父、大コーヒー農園主。父、中央銀行総裁。
ハーバード大学留学。医学、法律、経済、を学ぶ。
27歳、経済企画庁長官。34歳、国会議員。
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≪最近の世相より≫

佐々木玲吉
 今、連日、新聞各紙、週刊誌も含めて、鈴木宗男の記事で大賑わいです。13日 のTVは多くの人が釘付けになったようです。そして自民党元幹事長加藤紘一秘書 も問題を起こし、円藤徳島県知事も収賄で逮捕されています。金権腐敗は底なし の様相です。これらの事件は何れも他県、他地域の問題ではありません。当地川 崎でも田中和徳議員(自民党)はムネオ・マネーで汚染されています。これらの 詳細は白日の下、徹底解明されなければならないし、田中真紀子外相を罷免させ た小泉総理の責任も追及されなければなりません。

 そして川崎ではもう一つそのままにしておけない大問題があります。南伊豆土 地取得に関わる不可解な経過の数々です。当時の市議会議長宮田良辰(自民党) をはじめとする川崎市最高幹部の動き、4億2千万円と言う巨額の金をあっとい う間に利得した人間、そしてその流れ等々、これらは徹底的に解明されねばなり ません。さあ川崎市民の出番です。頑張りましょう。

 ところで自民党の腐敗問題でわが国のメディアが大騒ぎしている間に、アメリ カではブッシュ大統領を中心として大変な策略が進行しています。イラン、イラ ク、北朝鮮を名指しで「悪の枢軸」ときめつけ、先制攻撃こそ最大の防御という 考えのもと、着々とその準備を進めています。その第一目標はイラクと言う事で す。チェイニー副大統領はその布石のために旅立ちました。そしてその三国以外 に中国、ロシア、リビア、シリア等を加え計七ヶ国に核攻撃のシナリオを策定す るよう指示したとも伝えられています。今や人類は危険な崖淵に立たされている と言っても過言ではないでしょう。米科学誌『原子力科学者会報』の世界の終末 を午前零時に見立てた「核の時計」は2月末で2分進められ、7分前になったと 報じています。われわれは充分警戒し、時には声を大にしてでも世界の人々と共 にアメリカに、ブッシュ大統領に自制を求めていかねばなりません。それらに関 する新聞記事を思い出し、読み返してみて下さい。

 さて、そのようなアメリカの動きに呼応して、わが国では有事法制の議論が盛 んになってきています。いざ戦争ともなれば、飛行場、港湾、道路、そして市民 の住宅等も軍隊が優先使用すると言う事です。朝日新聞では3月始め頃より10日 迄連載されました。
 小泉総理は組閣数日後、中曽根康弘、竹村健一、石原慎太郎らと銀座のレスト ランで会合しております。憲法改正も話題に上ったようです。彼らにとって鈴木 宗男問題は大して気にも止めていないのでしょう。石原慎太郎は都知事になった 最初の防災の日に消防隊や消防自動車ではなく、迷彩服を着た自衛隊員、そして 装甲車等で銀座をデモ行進させた事を私達は忘れません。

 以上、最近の世相から何やら不気味なものを感じ取るので、そのまま述べてみ た次第です。
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≪佐藤貞男格言新集―その10≫

佐藤貞男
 前回は「人類の為に地球は廻っているのでは無い」と言う格言を発表しましたが、 兄弟編と言うか第28号は「君の為に世の中は作られて居るのでは無い」と言う事を 書きます。
 人間この一回しか無い一生を、人それぞれ種類大小の違いは有るにせよ、豊かに 思い通りに楽しく健康に幸せに暮したいと思っている事でしょう。だが、中々そう は行かないのがこの世の中。先ず国家間で見れば、大きな犠牲と損害とを経験した 第二次大戦を味わい乍も覇権主義は消えず、弱肉強食の野蛮、元始時代その物、力 と数が通り、倫理、真理が無視され「石が浮かんで木の葉が沈む」世の中。何時原 爆戦が起きるか分からない危険状態。それで無くとも各国の為政者が無関心か無能 か、放置していた為め自然環境は目を覆うばかり。山林伐採による原野化、森林の 枯渇化、保水力を失い湖も涸れ、大地は砂漠、化石燃料は使い果たし、温暖は日毎 に高まり、氷山は溶け、大増水。世界大都市の殆んどは水没、雨水の酸性化により 農漁の荒廃と衰退、人口の都市集中のアンバランス、そのどれ一つ取っても人類滅 亡に至る重大問題。それと戦後の為政者が長期ビジョンを持たず、政策の無能化と 失敗による、体制の形骸化と組織流通の硬直化(お役所と言う処は変化の無い処、 前例と慣習で行政が行われる処)。実例はホワイトカラー、議員、役人、商業、金 融、サービス業、遊興業等、非生産業が優遇され社会経済を支配している。俗の言 葉で他人の褌で相撲を取っている業種や人口比率及び財力の強さが異常に強い。

それに引き換え第一次第二次産業(裾広がりこそ強固でなければならないのを)の 弱体化。政府も地方行政もこれには目もくれず、為すが侭。生産の無い社会は何れ 崩壊する。今世紀末には都市の人口激増により経済の崩壊により物資、特に食糧の 供給不能に陥り社会は阿鼻の様相を呈するだろう。はっきり言えば今の人達は甘い 汁を吸うちゃっかり心理が強いのではないか。昔から役人に三ずの言葉「休まず遅 れず働かず」楽して儲け、労少なくして利多し、手抜き主義、ぱなし主義、貰いぱ なし、使いぱなし、遣りぱなし。汚職、口利き料、袖の下の議員、役人、あ、未だ あった、公金泥棒、無駄遣い、だが世の中そう甘い物では無い。然う斯うしている 内、とんでも無い世の中に成って仕舞う事を覚悟しなくてはならない。
 ではどうしたら充実した豊かな気持ちの人生を送れるか。  地球は正直、地球は嘘を吐かない、地球は真理で廻っている。皆に生きる全てを与えてくれている、呼吸している空気、地熱、光、水、それでも一銭も取らない、万人全てに、地球の声を聞き、天の示す道を歩めば悩みは飛ぶ。人は如何に役に立つか、が全て。望むは成果(給与)で充分満足、好く働く事、苦手、嫌な事こそ己の行うべき道と心得、人以外の者(物)も愛し三世(前世。現世。来世。過去現代未来)を一生と思い、永遠を友にし、業火の中で働く事が幸せを掴む法。世の中が何時も己と暮してくれる境地に成れる事請け合い。


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会計報告(H13.4.1〜H14.3.21.)
収入 支出

前期繰越        54,407

会費(116名)     338,000

資料販売        19,000

寄付金         145,239

雑収入           21









収入合計        502,260


会報発行費(22〜28号)   90,482

会議資料          3,435

公文書写し代        20,180

訴訟経費          4,840

旅費交通費        110,940

会場費           19,600

通信費           20,720

全国会費          20,000

雑費            3,006

支出合計         293,207

残高           263,460


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