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▼―かわさき市民オンブズマン連戦連勝
1 5月16日、横浜地裁で、またもかわさき市民オンブズマン勝訴判決が言渡された。
2 判決は、本当に気持ちが良いくらい明快である。 3 また本件土地について、@建物を建てるには開発許可を受ける必要がある、 A落石・土砂崩れ等が発生するおそれがある、B川崎市側の大澤鑑定書の作 成経緯に疑問がある、などこちらが主張した事実関係を全て認めた。
川崎市が寄って立つ大澤鑑定については、@上部平坦地の利用制限、A落石
の危険、B排水設備費用、C鑑定の際の調査方法など、やはりこちらが主張した
不適正な点を全てとりあげ、採用できないとした。 4 川崎市は、市が取得しないと公社に損害が生ずると、住民からみればとんでも ない主張をしたが、判決は、「被告の論理に従えば、市から依頼を受けて公社が 購入すると、その価格が不合理であっても、市はその価格を基礎として公社から の取得をせざるを得なくなるが、それでは、公社の購入についても、市の取得に ついても事前の違法の是正の機会がなくなるから、適当ではない。」と退けた。
5 市が公社と用地取得依頼の際に交わした書面には、「2000年3月までに用地
を買戻す」と記されているが、市民局の担当者は、「(時期は過ぎたが)係争中でも
あり、現段階で買戻す考えはない。」としながらも、「開発行為はしていないが、
保養所計画は存在している。」と述べている。
6 しかし、この会報が皆さんのお手元に届くころには、川崎市長は性懲りもなく
控訴していることが予測される。控訴が棄却されたら、控訴審の弁護士費用支
払は税金の無駄遣いであるとして監査請求を起こしたい気持ちである。
▼あまりにも不明朗な取引 南伊豆判決を聞いて:清水芳治 この裁判に私は原告の一人として参加した。本年5月16日の横浜地裁判決に対し、川崎市は 控訴の方針であるいう。(朝日新聞5月24日)そこで改めてこの問題を考えるために、不明朗な 事実を整理して置く。 @H6年6月21日譲受人・伊東学園と譲渡人・南伊豆園芸クラブは国土法に基づき静岡県に 売買予定価格を届け出た。u9573円、総額8億5008万2496円である。ところが実際は同年 10月4日伊東学園はこの土地を2億0064万8400円で譲り受けている。だから届出は、第三者 に高値で売り付けるための目晦ましとしか考えられない。さらに興味深いのは、この届出の南伊 豆園芸クラブの総務部長と伊東学園の総務部長は同姓同名である。戸籍を調査したわけでは ないが、同じ系列の組織で同姓同名ということは、同一人と考えて間違いあるまい。言い換え れば、右の手のものを左の手に移して2年経ったら4億円も儲かったのである。 Aしかも既にこの時には川崎市が土地取引に動き出しているのだから、慌てて株式会社から 学校法人に手間隙かけて所有権を移転したのには格別の理由があるはずである。 Bこの事件では飯塚英教用地部長の役割が随分希薄である。彼は三田工業事件で立件され た後も『川崎市職員不祥事防止特別対策委員会報告』で「業務には精通しており、結果的に は独断専行につながったが、困難な事業に対しては自ら」取り組む人物だったにもかかわらず、 その上、深瀬現助役等とともに公用車で現地視察に赴いているにもかかわらず、こんな重要な 取引から忽然と退いてしまうのだ。何故だろうか。三田工業事件を想起されたい。遠藤鑑定士 をして強引に値下げさせたのは飯塚である。因果を含めて大澤鑑定士に高値鑑定を慫慂する には格好の人物ではなかろうか。 CH7年11月21日、川崎市の職員が「用地買収費の根拠(概算)」を独自に集めた比準価格 に基づいて計算している。公簿面積8万8000u、u約5238円55銭、これに温泉権1億円を 加えたものが約5億6099万2000円である。ところが実測によれば7万0696.09u(便宜7万 700uで計算する)である。少し乱暴だがこれに5238円55銭を乗じると約3億7036万5485 円が得られる。これに温泉権の正当な価格を1500万円(少し高め)を加えると、3億8536万 5485円。太田鑑定に極めて近い! ここらがあの土地の高値の上限であろう。 Dところが、H8年秋、大澤鑑定が出されると判がペタペタ押されて承認された概算価格の 稟議書が1課長の手でアッサリと大澤鑑定価格6億1734万2000円に書き換えられてしまう。 面積が1万u以上減ろうが、いくつもの判が押されようが、構わないのか。これでは何のために 実測し、何のために稟議書があるのか全く分からない。 EH10年2月18日、まちづくり委員会。委員が土地の紹介者はいなかったのかと糾すと、市 職員は「いません。直接の話です」と答えている。これは裁判で決着済みだが、何のために こんな答弁をせねばなぬのか。委員会を愚弄するのも甚だしい。 F総じて言えば、川崎市は何故公金をもって土地転がしに参画せねばならなかったのかは 依然として一切明らかにされていないのだ。 (清水芳治) |