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かわさき市民オンブズマン 第8回定期総会議事録


日時:2004年5月15日(土)13:30〜16:20
場所:中小企業・婦人会館
出席人数:45名
 マスコミ:読売新聞社、神奈川新聞
 当日は非常にいい天気であった。昨年よりは集まりが良かった。

第1部	講演「オンブズマン活動を旺盛に」
     講演者 小野寺信一弁護士(仙台市民オンブズマン代表幹事)

  −司会の川口さんから小野寺さんの紹介がなされた。−
  
○講演
私は、仙台市民オンブズマンの創設から参加し、最初の3年間は事務局長をつとめた。創設メンバー
が順番に代表幹事になり、創設メンバーの最後として代表幹事になった。来年からは一線を退き応援
団として活動する。
 活動を始めた最初の頃、仙台市長がゼネコン汚職で逮捕された。次に宮城県知事も逮捕された。
 我々オンブズマンが世間に知られたのは食料費による官官接待問題である。平成7年のことであった。
内情に詳しい人から、交際費を調べるよりも食料費を調べなさいとのアドバイスがあった。
  事務局次長の庫山が、70回分の会食メモを持ってきたところ、64通が同じ日付であった。その事か
ら、どうもカラであろうと思われ、全国的に調べ出して大きく騒がれた。あれから10年、感慨を禁じ
得ない。
  今の宮城県知事は情報公開に熱心でやりやすかったが、大きな山が残されていた。それは警察であ
る。警察は情報公開対象になっていない。ここでも良いアドバイスがあり、予算決算に関しては知事
が執行権を持っているので、会計書類は知事に情報公開請求ができる。実際に裁判をすると控訴審で
勝てた。浅野知事は住民訴訟で負けた時は上告しないので、確定した。
  この後、食料費は一定以上は違法になった。後には、旅費と報奨費が残された。
証言してくれた原田さんは38年間現場にいて、最後は本部長までになった人。証言によると、正規の
報奨費を使ったのをみた事が無い。最初から裏金になり、協力者に払う場合も裏から出るとのこと。
これで一審は勝ったが、肝心のところはまだである。
  浅野知事に、求釈明をした。2枚舌は許されない。知事が県警予算を全額認めた翌日に、原田さん
の告白があった。知事は県警に対し会計書類を出せと求めている。会計文書を知事が見るのは当然で
ある。ところが前途金は出納長に文書を提出することになっているが、県警が持っていてもいいとい
う合意文書がある。これを盾に県警はすりぬけをはかっている。次に検察の調査活動費も調べる事に
した。これには大阪の内部告発があった。
  金は魔力を持っている。本部長の机の上にお手当てを置いておくと、次の日無くなっているそうだ。
上が手をつけないと下が手をつけられないのでやっているとのこと。
どう考えてもおかしい。汚れた手で逮捕できるのか? 疑問だ。
  また、公共事業の差し止め訴訟をやっている。ホテルの建て替え案があり、パスポートセンターが
入居するというので調べてみた。実は別の土地も買ってあったのに、建て替えに変更し、最後は入居
するという。どうもおかしい、誰がどこで決めたのかもわからない。記録文書が無い。どうやら空白
である。
  過去についての住民訴訟ではなかなか勝てない。どうしても裁量の壁に突きあたってしまう。そこ
で過去ではなく差し止め一本でいくことにした。
勝負は作るまでにある。議会が機能しないことに問題がある。スタートの段階で説明責任を求める。
  地下鉄東西線の差し止め訴訟では、川崎市の事例がとても参考になった。御礼をいいます。こちら
からは、工事費と需要予測を提出したのに対し、相手側は需要予測の専門家を出すといっていたのを
取りやめた。需要予測は大きくはずれている。なぜかというと過剰予測を入れた資料をコンサルタン
トに作らせているから。だから専門家を出せなくなってしまったわけである。同じ事が工事費にも言
える。計画段階では安めにしておき、追加工事で増やすつもりである。巨大公共事業の原点にたどり
ついた。面白いところに入ってきた。
  議会に関しては政務調査費の出張に関して調べている。名古屋市への出張調査の件では、一般客に
混じって通り一遍の説明を聞いただけであった。政務調査費は結局のところ、巨大公共事業を通すた
めの、眠り薬の入った飴玉になっている。

  ―仙台市民オンブズマンの組識論―
仙台市民オンブズマンでは、各論から始まって各論につながる。今最もやるべき事は何か? 今の段
階でもっとも効果的なのは何か? を問いながらやっている。総論からは何も生まれない。すぐれた
工夫の積み重ねが成果を産む。それには、個別、具体的なものをやる。田中角栄に対する立花隆と同
じ事をやっている。反面、時々は合宿をすることで、過去を振り返り未来を展望することもやってい
る。

  こういうことに弁護士が必要なので若い弁護士を誘っているが、なかなか難しい。今の若い人はい
い事務所や年収が気になるようだ。そこで口説くせりふとして、倍稼ぐのは難しいが、倍興奮するの
は簡単だ、と言っている。
  活動をすることでえられる事として、未知のところで、右に行くのか左に行ったらいいのかがわか
るようになる。
  我々には250人のサポーターがいるし、自慢したいのは仲たがいして辞めた人はいないということ。
それには、活動自体が社交の場としていい場所かどうかが重要である。集まっている事自体が楽しい
面白いということが大事。個性豊かな連中が集まって組識特有のなごやかな雰囲気を作っている。
  この前由布院に行った。由布院を今のようにした団体の人達は、バブルの頃逆風だったが、それぞ
れが仲良くする事が大事だと言っていた。都会の場合、付き合いのある場所が少ないので、その場所
に行くのが楽しい、ということが大事であり、長続きする秘訣でもある。
  今年の夏の全国大会、函館で会うのを、仙台の皆も楽しみにしているので、皆さんも来て下さい。
私達は警察の情報公開をみやげに持っていく。川崎からは地下鉄問題でこれからもお世話になるかと
思うのでどうぞ宜しく。

司会:川崎の地下鉄は、羽田口に関連して、復活させようという動きがある。今後も注意をして見守
っていくことが大事と思います。質疑応答に移ります。

Q、 仙台市民オンブズマンでは警察問題をやっているが、教職員の方は手を付けていないのでしょ
   うか?
A、教職員のどんな問題ですか? お金に関してですか?
Q、噂によるといろいろな面で市の金をごまかして学校で使っているようだ。
A、カラ出張を調べたら、県の学校もやっていた。学校に関してだけで、取り上げていない。
Q、警察も含み行政立法機関で不正が行われているのに、チェック機関はあるのか?
  政治の恥部の問題で、議題になっているのは良くない。チェック機関としてのオンブズマン活動と
 はどういうものか?
A、監査委員や議会は本来チェック機関なのに、あのていたらく。警察検察などもチェック機関なの
 に、自分達自身に不正がある。
  間接民主主義のためには直接民主主義が旺盛でなければいけない。
Q、若手の弁護士の参加について。問題意識や努力はどうか?
A、仙台市民オンブズマンは、20人のオンブズマンとタイアップグループに分かれている。
 会報、市民フォーラム、金集めや街頭行動は、市民運動を既にやっている人が入ってきている。
 ただ、学生など若い人の参加率は良くない。女性のパワーにすがっている。
 これが課題になっている。
Q、警察は悪い事をした人をとりしまるのが仕事。オンブズマンは警察を取り締まるのが仕事。
 例えば、市指定のスタンドでガソリンの水増しなどをやっているようだ。
A、どんな組識にも目の上のたんこぶが必要。たんこぶは、弱小市民団体の我々がやる。既に警察
 にとってはとてもいい刺激になっている。
Q、昨年仙台に行った時には、会議の後、皆で持ち寄りで飲んでいた。和気藹々とした中でエネル
 ギーが沸いていた。 地下鉄問題では、川崎は着工しようとした時期で、専門部会と市民部会で意
 見反映が出来た。それに対し、仙台は着工が決まっているのでは? 川崎は4年の延期に決まった。
 あくまでも延期なので、羽田口構想の関連でやろうとしている時に、仙台の訴訟の経験が役に立
 つと思われる。
A、仙台地下鉄の時期は未定である。奥田さんの講演により、活動に弾みがついた事をお礼申し上
 げます。
Q、内部告発者の保護はどうなっていますか?
A、告発者の氏名はなかった。あったとしても、発表する時はどこから出た告発なのか言わないよ
 うにしている。これで問題になった事は一度も無い。
Q、この中に報奨費をもらった人はいるか。私はもらった事がある。
  バイクがバスにぶつかったのを見た。バイクも悪いところがあったという話をした時、2000円を
 もらった。また、排水溝のふたが飛んで死者が出た時、警視庁に電話を入れた。警察が調べに来
 た。
A、前者は参考人の旅費日当であろう。 最後の方はどれに該当するのかわかりません。

第2部 総会
 
 司会の望月さんから開会宣言がなされた。
1、篠原代表幹事が、開会あいさつを行った。
  仙台の小野寺さんありがとうございます。会員が多くてうらやましい。こちらは、150〜160ぐら
 いで一進一退、早く200人をこえたい。
  先日、あきる野の圏央道で原告が勝った。公共事業では、需要予測を間違え、工事費を3倍かける。
 また過大アセスが必ずある。例えばアクアライン。縦貫道はアクアラインの受け皿として、過大
 な需要予測があった。4月22日の裁判では、需要予測と環境悪化で勝った。
  羽田空港神奈川口の話、京浜部の活性化といっているが、KCTがうるおうはずがない。KCT
 は陸送とは関係ない。川崎は殿町矢向線と接続をいい、横浜は357線を言うので、綱引きになって
 いる。
  KCTの追加支援について。共同経営者が経営案も出していないのに、支援を決定した。年間何
 億もの支援である。今年はとことんKCT問題をやる予定。
 今回も、あいさつに代えて問題提起をした。どうぞよろしく。

2、清水事務局長から、活動報告がされた。
(詳細は報告書を参照して下さい。)
今年は特に、KCTなどの法廷闘争があった。山口不二夫氏を迎えての勉強会や市民報告会をやる
など、このテーマにかなり力を入れた。事前の市場調査がなされていなかった。第三セクターは責
任の所在があいまいになる。議会がチェックどころか、第2バースを作れなどの逆の動きをした。
今度は資産整理が済んでいないのに、事業がやられている。実体の無い幽霊会社に税金が注ぎ込ま
れていたことになる。
  弁護士費用では、川崎市が上告したが、勝訴した。まわりまわって我々の財政状況が好転した。
原状回復訴訟では、裁量権にはばまれた。臨海部見学会を開き、若い弁護士の卵と交流をはかり、
加わってもらうことを期待している。

4、渡辺さんから会計報告がなされた。 
  各項目について具体的な説明が行われた。
収入の部で、高額寄付金水道メーター弁護団65万円、三田工業事件弁護団で101万円。
支出として、3年分の訴訟経費を精算した。また、委託研究費を20万円支払った。

佐々木さんが辻村さんの監査結果を報告した。
税理士の辻村さんにより、監査の結果適性であると認めることを報告した。
印刷では印影が写っていないが、原本にはあるので確認して下さい。

5、渡辺さんから予算案が説明された。 
下水道弁護団から寄付金が入る予定である。
会員は150名見込み。
100万円を訴訟積立金として別枠にしてある。

6、江口代表幹事が、2003年度の活動方針案を説明した。 
  方針案に書かれていない事を、口頭で説明した。
@	税金の無駄遣いを正す活動
  KCT破産は成功のようで、後退であった。結局、市は何の妙案も無しに支援を継続している。
 でたらめ。このことを川崎区の人は知っているが麻生区の人に知られていない。マスコミももっ
 と勉強して知らせて欲しい。銀行の方に保証や念書が入っているなど色々な問題点がある。議会
 で一回取り上げただけである。
  元顧問の塚本さんが中心になってやっている市会議員との対話集会で、KCT問題を取り上げる。
 既に解決したと言っているような議員もいる。
A	法廷闘争
 すべて一件落着している。新たに、KCT問題をやるなど、新しいものに取り組んでいく。
 FAZへも川崎市が利子を補給しているなど、公共事業は作ってしまったら後は無責任。塩漬け
 土地も高額にて買い取っている問題がある。
B	行政、議会への働きかけ
 議員の年報表を資料集に載せた。
 本会議に出るだけで交通費や手当てが出ている。
C	組織活性化
 会員の強化をする。
 会員の拡充も行う。

7、人事案が、清水事務局長から提案された。
8、一括質疑
以上の議案(予算、活動方針、人事案)は一括承認された。

望月さんから幹事の紹介がなされた。退任幹事の佐藤宣雄さんからあいさつがなされた。
  このたび、体調をくずしてやめることにしました。創設以来7年間幹事として参加した。非力な
ものでお役に立てたかどうか?それに引き換え、3人の代表幹事はとても精力的にやられ、感謝し
ている。皆さんにひきずられてここまでやってきました。引き続いて活動は続けたいと思います。
長い間ありがとうございました。

司会:小野寺さんの話で警察の報奨費が話されたが、副所長だった人から耳にしたことがあります。
資料全てを過失で焼却してしまった。神奈川の警察見張り番の 鈴木弁護士から話を伺いたいと思
います。
鈴木弁護士:神奈川県警の不祥事問題をきっかけに、弁護士やオンブズマン中心に立ち上がった。
現職警察官の覚醒剤揉み消し。警察庁に調書資料を開示請求したところ認められた。ワープロを
持ち込んで写した。約1年かかったが本になった。たいして売れていないが県警に対する威嚇力に
はなっているかもと思う。それから抜けられなくなってしまいました。
今日は小野寺弁護士から勘所を得られるかもしれないと思い参加しました。もう2、3年たったら
報告できるようにしたい。

司会:会員拡大の上手な小倉さんから一言お願いします。
小倉さん:会員に誘うと、警察や行政ににらまれないか? という人もいれば、1月250円で入れる
とは、とても安いという人がいる。今日の総会についても、土曜日は掻きいれ時なのに、無理して
出てきている人もいる。一人の会員が一人を増やす運動をして欲しい。例えば、交通事故の時に弁
護士に相談出来るといって勧誘している。
兵藤さんから動議が出された。
勧誘を活発にするために、例えば会員費を5000円にして、紹介したら3000円にするというのはどう
か。
名称からして理解されていない。川崎住民オンブズマンとかにしたらどうか? 重大な問題をその
ままにしておくセンスが問題である。
篠原代表幹事:幹事会でざっくばらんに議論しましょう。
小倉:向うの名称をつぶすつもりでやりたい。
向うは無駄だからやめろと言う。そのために、このままの名称でやりたい。
清水事務局長:18日に8期1回目の幹事会を中原市民館でやりますので、是非参加して下さい。
金澤:オンブズマンというのは税金の無駄遣いをチェックすること。市民がわかっているのかどう
か? アピールが必要。たとえば福祉にも問題がある。福祉を利用して金もうけしている人がいる。
例えば、病院に入院している時、おしめをつけている。ところがおしめが取れてもおしめをその住
所に送り続けている。こういう無駄がある。死ぬまで、いや死んでも送っている。直ってももらっ
ている。福祉は一回もらうと死ぬまで続く。金額で180億円、これが頑張れば半分になる。
佐野市会議員:市民自治基本条例で、市民をどう定義するのか? 住民と言うと狭い範囲になる。
命懸けになるかもしれないし、簀巻きになるかもしれないが、大きな問題にマリコンがある、護岸
工事の使途が不明確である。
  実際に自分がもらっている額はかい離しているが、政務調査費の問題では、我々は開示している。
また、議員立法が少ない。議員立法のために政務調査費がある。
男性会員:福祉にはいろいろ問題がある。18年ぐらいいろいろやっている。市民側の立場でいうと、
学校の問題などに興味がある。今は治安の問題がある。楽しい方がいい。お互いのディスカッショ
ンが必要である。

宮沢:漢字の川崎市市民オンブズマンの報告書をもらってきた。それなりにPRをしている。ひら
がなの方も活動PRが必要と思う。
かながわ市民オンブズマンの男性会員:会員を増やす方法として、ねずみ講方式はどうしたものか。
私は川崎縦貫道の問題では裁判をやりました。
生田:宣伝ですが6月19日土曜日、教育基本法改悪に反対するウオークがあります。
佐野市会議員:教育基本法学習会があるので、是非参加して下さい。
男性会員:公害問題が大事。ここ2、3年でぜんそくになったが、中原以北では治療費が出ない。
紹介して頂いて一緒にがんばっていきたい。
清水事務局長:この後、懇親会がありますので、希望者は参加して下さい。
司会:まとめを黒田顧問にお願いします。
黒田顧問:名司会者によりわきあいあいとした会だったと思います。
今日は、小野寺さんが市民オンブズマンの歴史を語られました。初期に出たいい本があります。
全世界に日本の市民オンブズマンを紹介しましょう。実は、トランスペアレンシーという国際組織
が表彰をするという話もあった。各地のオンブズマンが連携する全国市民オンブズマンは、世界に
は無い組織である。各地の例を交換し、お互いに学んで活動している。
  同じような活動をしている市民団体をごっそり取り入れることが出来ないか? 今までやってこ
なかった教育や治安問題。今まで抜けていた視点である。各論から入っていく。  
  川崎は活動に工夫をしていくのが得意である。篠原さんは会社の整理で先鞭をつけた。奥田さん
は塩漬け土地問題で全国に先行した。
  私は今は情報公開市民センターの事務局長をしている。来年情報公開法の見直しがあり、改定案
を委員会に提案する。外郭団体の情報公開法があまり使われていない。情報公開室は開かずの間に
なっている。この前、特殊法人にいっせいに情報公開をかけた。内部監査がどうなっているのか?
 地方自治体を対象とする情報公開請求はやっているが、中央官庁と特殊法人が残っている。そこ
で役員が海外旅行でどこにいったかという公開をやってみた。少なくとも緊張感を持たせることは
出来る。

以上